本所 江戸 四谷 秩父 両国 神田 日本橋 浅草 上野 永代橋

のお咲という今年十七の娘であった。お咲は本所の親類へ行って、六ッ半（午後七時）頃に帰って来ると

職業に幾らか関係があったせいであろうが、老人は江戸の火事の話をよく知っていた。放火はもちろん重罪であるが、火事

の白い煙りが今更のように眼について、火事早い江戸に住む人々の魂をおびえさせる秋の風が秩父の方からだんだんに吹きおろして

願います。だんだん寒空には向って来ますし、火事早い江戸で半鐘騒ぎは気が気でありませんよ」と、家主はいかにも弱り

、十一月はじめの時雨れかかった日であった。老人は四谷の初酉へ行ったと云って、かんざしほどの小さい熊手を持って丁度いま帰っ

火事早い江戸に住む人々の魂をおびえさせる秋の風が秩父の方からだんだんに吹きおろして来た。その九月の末から十月の初め

「それが可笑しいんです。その猿公はね、両国の猿芝居の役者なんです。それがどうしてか逃げ出して、どこの屋根を伝っ

神田明神の祭りもすんで、もう朝晩は袷でも薄ら寒い日がつづいた。

できなかった。彼は八ツ（午後二時）頃に神田の家を出て、呪いの半鐘に見おろされている薄暗い町へ踏み込んだ

「これは神田の半七親分だ。おとなしく御挨拶をしろ」と、家主は権太郎を引っ張っ

、以前は柳橋で芸奴を勤めていたのを、日本橋辺のある大店の番頭に引かされて、今ではここに小ぢんまりした

へ出ないようになった。ふだん聞き慣れている上野や浅草の入相の鐘も、魔の通る合図であるかのように女子供をおびえ

と表へ出ないようになった。ふだん聞き慣れている上野や浅草の入相の鐘も、魔の通る合図であるかのように女子供

科料、猿公は世間をさわがしたという罪で遠島、永代橋から遠島船に乗せられて八丈島へ送られました。奴は芝居小屋なんぞ