甲州 江戸 八丁堀 本所 赤坂 下谷 浅草 神田 上野

て、とうとう寺を開いてしまって、十年ほど前から甲州の方へ行って還俗していたんですが、故郷忘じ難しで江戸が恋しく

行って還俗していたんですが、故郷忘じ難しで江戸が恋しくなって、今度久し振りで出て来て、早速歌女寿のところへ訪ね

、番屋で調べるときには、岡っ引や手先ばかりでなく、八丁堀のお役人衆もみんなこの息で頭からぽんぽん退治つけるんです。芝居や講釈の

んです。それからそれと探し歩いて、ようよう今朝になって本所の安泊りに一人いるのを見付けたんですが、どうしましょう」

「本所の安宿に転がっていると、丁度そこへ池鯉鮒の御符売りが泊り合わせたもん

も急に老人に逢いたくなって、そのお祭りの日に赤坂に出て行くと、途中から霧のような雨が降って来た。

その帰り途に下谷の御成道へさしかかると、刀屋の横町に七、八人の男が仔細

七月十日は浅草観音の四万六千日で、半七は朝のうす暗いうちに参詣に行った。五重の塔

「ことしの正月です。それから三月にも浅草で出っくわして、無理にどっかへ引っ張られようとしたのを、それも

「ああ、神田の親分でしたか。店中に飛んでもないことが出来しまして…

うしろ姿が山下の方へ遠くなるのを見送って、半七は神田の家に帰った。その日は一日暑かった。日が暮れると、源次

したんでねえことは私は知っている。わたしは神田の半七という御用聞きだ。世間の評判をあてにして罪科もね

寺を出て上野の方へ引っ返すと、半七は一人の背の高い男に出逢った。それ

に二つ三つ世間話をしているうちに、やがて上野の鐘が四ツ（午前十時）を撞いた。

まかれて、みんなべらべら申し立てましたよ。そいつは元は上野の山内の坊主で、歌女寿よりも年下なんですけれども、女に