大阪 関西 南禅寺 千日前 関東 京都 東京 大崎 神田 品川

獲得のリーグ戦が全八段によつて開始された。大阪からは木見八段が参加した。神田八段も中途から加はつた。が

つたが、坂田には玉江といふ令嬢が介添役として大阪から同行して来てゐた。妻に死なれたあとずつとやもめ暮しの父

、その挙句坂田は東京方棋士と絶縁し、やがて関東、関西を問はず、一切の対局から遠ざかつてしまつた。人にも会は

まつたかと思はれるほどの厳さである。ことに南禅寺は東山の山懐ろで、琵琶湖の水面より土地が低い。なほ坂田は六十八

いふひとである。対局中の七日間、両棋士はずつと南禅寺に罐詰めといふ約束であつた。ところが、坂田は老齢の上に、何

のは、七日目の紀元節であつた。前日からの南禅寺の杉木立に雨の煙つてゐる朝の九時五分にはじめて、午

対局者は打ち揃つて南禅寺の本堂に詣り、それから宝物を拝観した。坂田は、

いまもあるだらうと思ふが、その頃私は千日前の大阪劇場の地下室にある薄汚い将棋倶楽部へ、浮かぬ表情で通つてゐ

きはめて、その挙句坂田は東京方棋士と絶縁し、やがて関東、関西を問はず、一切の対局から遠ざかつてしまつた。人にも

局のうち、最初の一局の対木村戦は、とくに京都南禅寺の書院がえらばれて、戦前下見をした坂田が、

てゐるが、対局を開始した二月五日前後の京都の底冷えといふものは、毎年まるで一年中の寒さがこの日に

けれども、私も京都に永らく居たゆゑ知つてゐるが、対局を開始した二月五

坂田の名人自称問題は紛糾をきはめて、その挙句坂田は東京方棋士と絶縁し、やがて関東、関西を問はず、一切の対局から遠

同志の虚々実々の駆引きは勿論である。けれど、坂田と東京方棋士乃至将棋大成会との間にわだかまる感情問題、面目問題はかなりに

いはゆる坂田将棋の真価をはじめて世に問ふ対局である。東京方への意地もあらう。一生一代の棋戦と言つても、あながちに

それを、ひとびとは遂に見ることが出来なくなつた。かつて大崎八段と対局した時、いきなり角頭の歩を突くといふ奇想天外の

から、大衆の驚き方は大変なものだつた。かつて大崎八段との対局で、坂田が角頭の歩を突いた時の興奮

された。大阪からは木見八段が参加した。神田八段も中途から加はつた。が、ただひとり坂田は沈黙してゐる。

つてゐるうちにやつと品川行といふ字だけが、品川の川といふ字が坂田三吉の三を横にした形だつたおかげ

電車の字が読めぬ、弱つてゐるうちにやつと品川行といふ字だけが、品川の川といふ字が坂田三吉の三を