大阪 奥州 本郷 富士山 東京

――彼は大阪では少しは人に知られたヴァイオリン弾きであったが、年中貧乏して

寿子は大阪で行われた予選で第一位を占めた。庄之助は、旅費を工面する

「さすが大阪の奴は、金のことにかけると汚いわい」

やがて、父娘は大阪行きの汽車に乗った。車窓に富士が見えた。

「――日本一のヴァイオリン弾き！　前途遼遠だ。今夜大阪へ帰ったらすぐ稽古をはじめよう」

もひっつく万能水糊、猿又の紐通し、日光写真、白髪染め、奥州名物孫太郎虫、迷子札、銭亀、金魚、二十日鼠、豆板、しょうが飴、

の金を心配しながら、寿子と二人で泊っていた本郷の薄汚い商人宿へは、新聞記者やレコード会社の者や、映画会社の使者

「ああ、富士山！」

して、間もなく、東京日日新聞主催の音楽コンクールが東京で行われた。

十三で小学校を卒業して、間もなく、東京日日新聞主催の音楽コンクールが東京で行われた。