大阪 馬場町 京都

じゃ、自分たちは大阪までだから、京都まで話が出来ると思うと、白崎は何かほのぼのとたのしかっ

しかし、どこか赤井の顔は寂しそうだった。これから大阪へ帰っても、果して妻や子は無事に迎えてくれるだろうかと、消息

夜が明けると、赤井はミネ子と二人で、大阪中を歩きまわった。

ていたので、経験がある。一つには、大阪で一番雑閙のはげしい駅前におれば、ひょっとして妻子にめぐり会えるかも知れない

、赤井は何思ったかミネ子の手をひっぱって、大阪の放送局のある馬場町の方へかけ出して行った。

だ、たしかそんな名前だった。大阪放管？　じゃ、大阪からの放送だ」

たかミネ子の手をひっぱって、大阪の放送局のある馬場町の方へかけ出して行った。

ノッポの大股で、上本町から馬場町まですぐだった。

「あら、じゃ、学校は京都でしたの」

「私、京都ですの。沼津の田舎へ疎開していたのですけど、これから…

「京都へ……？」

じゃ、自分たちは大阪までだから、京都まで話が出来ると思うと、白崎は何かほのぼのとたのしかったが、ふと

だから、京都までの時間は直ぐ経ってしまった。

山科トンネルを過ぎると、京都であった。そのトンネルの長さも、白崎にはあっという間に

なくそわそわと探したい人があった。が、その人は京都に住んでいる声楽家だというだけで、まるで見当がつかなかった。