日記 27 一九四四年(昭和十九年) / 宮本百合子

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道灌山

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寿、やっと室の錠があいた由、道灌山の下で待っていた。何とよかったろう! どんなに気が楽に

伊豆

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伊豆のはなに軍艦がいる由。

箱根

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道が実にいい気持で、きのうの雪で白くなった箱根の山々の眺めもうつくしい。

靖国神社

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靖国神社の祭日、休みかどうか分らない故ですいていて珍しい。一六八。すこし

関東

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ブンブン飛行機がとんで、入間川の堤場は美しく柔かい。関東のこういう古い家の陰気さ。四角くくらい。関西の背戸へぬけた方が

関西

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柔かい。関東のこういう古い家の陰気さ。四角くくらい。関西の背戸へぬけた方が明るい。内田いち子という未亡人だ。体をしゃっきり

熊谷

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鷺の宮へゆく。はじめ栄のところへ。熊谷からみんな来ている。大家が家を売って疎開だと云ってトラックのうしろ

て、チーちゃんの隣組は其をとりかこみ、こういう事は熊谷ではさせないとがんばり、やっと家は確保した由。疎開にもこう

荏原

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杉並、北多摩、荏原、品川等の被害が、漠然と語られている。

東北地方

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〔欄外に〕東北地方、水害。

千駄木

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その前に自発的疎開をするように父兄会を開催する由、千駄木で。

根岸

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風情。うちは全く明治の古典的温室があったりして、根岸のハイカラーというところ。面白さ、うるささ半々なり。ゆっくり休んで夕刻かえる。

四国

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が大はれの由。月一杯やすむ由、栄さんは四国へ行く由。

くり飯をたく。繁治さん来、栄さんは四国。うちへ呼ぶ人は国とのとり合せがむずかしいから、こういう程度。

川越

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近藤さんの話、川越の奥の物置洋館の二階というの、自分かりようと思う。寿かり

川越のマッチ二階ことわって来た、はじめの話とちがうからと云って。理由

ホノルル

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英ロージャーキーズ元帥ホノルルへ。

父島

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歯へ行く。もんぺで。北九州、父島へ来て、北九州から山口の海岸よりのところ相当の被害らしい。今夜からあけがた

八幡

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見ながら、これらのことを切実に感じた。新聞は八幡損害なし、と語っている。麦やきしていた山間の村に大爆撃

寿

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国より電話、月曜にかえる、寿どうかしてくれと咲に。咲大弱り。何と云っていいか分ら

夜分になってから寿来る。

チロル

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○シェルブール撤収。イタリーはローマよりチロルの方からやって来る、東はポーランドの方から。「ソが、スタリングラードで

ローマ

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同時にカレー、ダンケルクで猛空中戦、と報道あり、独、ローマ撤収と機を等しくして。ダンケルクの悲劇(一九四〇年五月末――六

○シェルブール撤収。イタリーはローマよりチロルの方からやって来る、東はポーランドの方から。「ソが、

ノルマンディー

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○緑郎から手紙来る、六月頃。ノルマンディーに上陸したばかりの頃。ピンぼけなり

ブルターニュ

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野蛮で狂信を政治闘争に利用されている木菟党たるブルターニュの農民の特質がなかなか立派にかけている。(ここにスペインとの類似、

四谷

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四谷へまわり住友で△たずねたがいないというので小使室でことづけたのむ。

本郷

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の学童が疎開することに決定。東京は各区別に。本郷は栃木。黎子ちゃん集団疎開になる。三年以上の子供はみんな。三年

パリ

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いった。家主はいやな男。六畳、十二円。パリを見わたすように高みから、何か東京を俯瞰する感じで面白い、高い坂の

パリより邦人ベルリンに脱出す。

パリ、英米軍の包囲下にあって、全市で激戦中、エトワール、モンパルナス、

満四年間独軍の下にあったパリ、二十八日反枢軸軍によって陥落する。ド・ゴール進駐

アイゼンハウアー パリに入る

駐仏ソ大使アルジェールよりパリへ。

長者町

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いやだから行くと云っていた由。寿二十九日に長者町へ引越し。どうしてもここで年越しはしないとガンばっていたの

コタンタン半島

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しかしコタンタン半島の遮断に成功したのだそうだし、シェルブールが西南で包囲された

青山

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やって朝の墓詣りしたりするのは初めてのことだ。青山の通りの小さい支那飯やで、二品一円のひるめしを売っているの

十条

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て、勤労の所得は私有をゆるす、それはソヴェト憲法第十条にあるとおり、ときいて、いきなり六法全書出してひっくりかえし出した。

両国

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ソ連ルーマニア両国休戦、

千葉

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寿江子千葉へ戻るため、千葉迄咲、送って行ったが切符買えぬ由。戻って来る。リュック背負っ

寿江子千葉へ戻るため、千葉迄咲、送って行ったが切符買えぬ由。戻っ

物かげ丘へ送りつけると云っている話をする、そして、どっちみち千葉へひきとることにした方がよかろうという相談する。

寿千葉へかえった、咲に会った由。よかった。

千葉へは行く由。

なる、来ない。二時になる来ない。四時すぎ千葉へ電話をかけ、やっと通じたら、出たが故障で行かれなかったと

朝千葉へかけたら、三十一日に来るとのこと。こんどはたしかであることを

。相当重いのを両手に下げて。よくもって歩く。千葉へ一晩かえり、明日野菜もって来てくれる由。

奈良

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甥の帰還」、「鳩」、「縁」は落ち「奈良」更におちる。敬語の出る小説は小説にならない、随筆止りなり。

池田小菊の『奈良』をよむ。「甥の帰還」、「鳩」、「縁」は落ち

」と云ってやりたい心持のところ。「弓」という奈良時代の背景の作品は、狙いどころの素朴な浄らかさ、生命の健康を

青森

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譲治氏青森へ行った由、二十二日に。娘は成城女学校に入る由。イラン

祖師ヶ谷、青森行の話。行く方がよい。ここと同じでグルリは皆やみして

福井

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大畑召集が来て、月曜の特急でかえった由。福井へ行くとか。△来ていろいろ話す。大畑が△のことを私に

秋田

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それが写真とよく似合っている、七十四とかのお母さん、秋田弁、小林のおっかさんを思い出す、年の頃も。雪国の女らしい

神戸

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その色の黒みにも、やせかたにもあらわれている。神戸の南洋庁でくれたというモンペの上下着ている。三ヵ月の間

毛布を三枚ぐらいずつ心配しましょうと云っている由。神戸でミヤコのようなもの、シャツ、男の子の服類よこした由、まだ東京

松山

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裁判長の訊問にうつり「経歴については事実か」「松山高校から帝大を出たことなどは事実ですが、その他の研究会などに

巣鴨

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身ぶりが一寸かわっていて面白い。国、昨日午後自分が巣鴨へ行っている間に国府津へ立った。寿に私がいそがしそうにし

巣鴨へ手紙かく。午後じゅうかかった。

○巣鴨。リンゴたった三つもって行く。赤倉の一つ組合の二つ、どれ

巣鴨 玉子六つもって行く。三つずつ入れる由。

巣鴨

巣鴨、高雄の陸軍病院から手紙よこした男、思い浮ばない由、誰なのだろう

〔欄外に〕巣鴨

〔欄外に〕巣鴨

巣鴨、こんど行ったとき借金話を出さないのは賛成だ、と笑っている

巣鴨、あんまりきれいな花の工合で、優しい病気にかかってかえる。

巣鴨

巣鴨、

ては。僅か二三ヵ月だが厄介になったから。六七年巣鴨へゆきながらあの店を目に入れなかった、そういう心理について省みる

巣鴨

〔発信〕巣鴨へ

巣鴨。かえりに目白にまわる。初節句、ところが、ここでは子供と母さんが

巣鴨。

巣鴨、

巣鴨。宮に相談する。絶対に承知する必要なし。そうだと思う。一言

巣鴨。

午後巣鴨。

巣鴨、診断書をよんできいた。「あきれたね」「うらでは気違い扱い

。小使も軽んじていていやな気がした。かえり巣鴨へまわる。森長の返事をする。かえり山崎の草履かって来る。近藤夫人

きょうから、来週火曜日まで巣鴨へゆくこと休止。「大分疲れるらしいから来なくていいよ」

巣鴨へ行く。火曜日のとき、木曜ごろ来られるかいということだったので

巣鴨へ手紙、二人遊びの日。

〔欄外に〕巣鴨へ手紙

〔欄外に〕巣鴨へ手紙、二人遊びの日

よい。責任もあるから明日は家にいようと思い、きょう巣鴨へゆく。月曜の上に、立会いが二人きりというので、勇敢な

〔発信〕巣鴨

たというのよく分る。手紙の宿題、あっちこっちへかえす。巣鴨へも。出かけない日の心持よさ

巣鴨へ行く

かえり巣鴨、テーブルをお調べでつかっていると云って小さい台もって来る。丁度

年ぶりで事件がすんだので、気分のんびりして、巣鴨で寝たくなってボーとした。

○巣鴨のかえり目白へよろうと、さち子さんの陣中見舞として咲のこしらえた

巣鴨、受付の様子が変って、門の入口になり、五十人ずつ区切って

巣鴨へ行く。一仕事すんだという風で、くつろいで、髯すって

巣鴨、歯とまわって六時すぎかえる、大いそぎ也、丁度国と前後して

巣鴨へゆき、かえりよる。片岡さん留守番に来ている。一人でさむしいから

〔欄外に〕は。巣鴨。

巣鴨へ行く。本をよんでいたら「宮本さん、もう病舎じゃないよ、

日に出廷しなかったので、それからあと、裁判長が巣鴨へ行って所長に会ったりした由。

巣鴨、宮おなかすいている顔している。今まで飲んでいらしたものどうし

巣鴨、

自分、巣鴨、ハ、とまわって六時すぎ帰って来たら食堂の椅子にひかえて

巣鴨へゆき、山崎のところへ宮の着物あずけて六時すぎかえったら、咲

巣鴨の行き、栗林へよる。どういうわけか袴はいて出て来る。大審院

米がなくなって巣鴨のかえり、山崎さんのところへ廻る、田舎へ手つだいに行っている由、

直接巣鴨へ。黒の麻、白麻長じゅばん、ふだん着の麻、うす鼠うすもの、へ

巣鴨へ、夏がけ、麻ネマキ、大島ひとえ、麻半ジュバン、もってゆく。

迷ったが、明日どうなるか分らず、巣鴨へ行く。思い切って今度はいろいろもたず鉄カブト手袋などだけもって。

巣鴨、

巣鴨、おなか工合どうもよくないらしい。一ヵ月ばかり下痢と秘結チャンポンの由。

巣鴨、

巣鴨へ行く。おなか小康を得ているらしく、先日よりもやつれていない。

巣鴨へ手紙。

巣鴨へゆく電車が神明車庫に止ったとき、解除になった。

〔発信〕巣鴨 栄へのぽぴん、巣鴨へ『飢と闘う人々』

〔発信〕巣鴨 栄へのぽぴん、巣鴨へ『飢と闘う人々』

で十六年十二月八日の夜以来テーブルについて、巣鴨へ手紙かきはじめる。国二人は下で、区役所の古物やに、三流

巣鴨、

巣鴨、宮小喀血した由。小指大。医者が臥床をゆるし、一週間

故ですいていて珍しい。一六八。すこしゆっくり話せた。巣鴨、明日は時間を少くしよう、それがいいわ、余りがんばらないで、ね

巣鴨へゆく。半紙百枚、鉛筆二本、シャツ。

〔欄外に〕巣鴨。

巣鴨へ行く。「こっちの警報って、どんなかしら」「うん、みんな鍵しめて

、酒ビンをあげ板の下にしまって片づけ、早ひるで巣鴨へ行こうとしていたら警報即空襲のサイレンで、びっくりして、食堂

巣鴨へ行こうとしているとき寿から電話「どうしている?」「うん

一時すぎそろそろ巣鴨へ行こうとして着物着かえたらば警報、二十分ほどで空襲、待避し

巣鴨。風呂に入っているそうで六〇人もあとにまわってしまったら十一時

上野

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太郎が十時に上野につくという電報来。国咲そのケフジウジツク タラウという電報をくりかえし見

夜飯後、ラジオをかけて、上野寿々本の中継コンニャク問答をきく。こういう庶民のユーモアはなかなか面白いところが

咲開成山へかえる、国上野まで自転車で荷もつもって行き、自分うば車で団子坂までゆく。坂

の山田さんとその子をつれて来てくれ、瀧川さん上野までわたしのトランクもって送ってくれる。一時四十分発

前の浅草の横腹にくいこんでしまった。地下鉄にのって上野でのろうとしたら、池の畔の遠くまでうねっている。七時頃

寿上野へ行って、尾崎、島田の小荷物とって来てくれる。相当重いのを

護国寺

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○かえり、護国寺の本やによって『時局情報』をとる。そして浅漬一本おいて

加能作次郎の「世の中へ」が護国寺の本やにある、まだあった。自分が買おうと思う。

目白

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きょうは思いがけず所沢へ出かけた、目白の先生一家、そしてあるところにあるものとびっくりした、一面佗しい。顔

寿の大岡山へやる荷物見るにつれて、目白の荷物出して見て、鼠にあらされているので情けなくなった。

御主人もさすがに気が立っている。無理もない。目白へは御主人一人のこる。「どんなもの上るんでしょうね」細君、いろいろ

巣鴨。かえりに目白にまわる。初節句、ところが、ここでは子供と母さんが、石森へ行く

朝目白から九時半ごろかえり、〇時五十五分東京発太郎を国府津につれてゆく。余りまぼしくない

○巣鴨のかえり目白へよろうと、さち子さんの陣中見舞として咲のこしらえた筍めしもっ

朝歯へゆく、それから目白。さち子さんすっかりやせて、ぜん息風のせきをしている。子供たち大はりきり

東京

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若い松の丸木が薪としてどっさりつんである。東京の町の貧弱な割木とは全くちがう。そして、いかにも昔の宿の

殆ど出勤しなかった。今年は、と思ったら五日と東京にいない。それもみんな寿のおかげというのかと思う。

畳、十二円。パリを見わたすように高みから、何か東京を俯瞰する感じで面白い、高い坂の中途だが崖でないから大して不安

は目をつぶって行った。全く国のいう通り、国府津東京間は、町つづきだ。交通遮断は目に見えていると思う。

からまだ安心だったが。寒い。ここでこの位だから東京はひどかろうと話す。

見えない、と云っているところへ、むこうから来かかった東京者の四五人づれの中から一人の婦人が出て来て、あいさつする

たった二晩田舎に眠り、夜の東京へ入り、殺気立っていることを痛感する、田舎へ行くべきではない

にうつることになる。亢奮している、「うれしいけどやっぱり東京にいたくもある」本心の言葉だ。咲挨拶に行って来る。太郎

二ヵ月ばかりの辛棒と思う心がしきりだ、そしたら東京の生活も万事が一変するかもしれない。そのとき又新しい生活の局面

この頃の東京の平和、生きている我々の一日の安穏のために、いくつかの命

四十万人の学童が疎開することに決定。東京は各区別に。本郷は栃木。黎子ちゃん集団疎開になる。三年以上

ようなもの、シャツ、男の子の服類よこした由、まだ東京がやけていなくてよかった。

十日にやっと東京に来て、早々沖繩のナハが、焦土となったニュースを得たの

日本橋の東京講演社へゆき、宮の必要な原稿用紙を森長さんへもってゆく

よ」「この間都の防衛課の人が来て、東京中こんな完璧なのはないと折紙をつけて帰ったそうだ、何しろちゃんと

朝九時半警報、一時解除、放送「伊豆方面より東京に向って進行中と認められた飛行機は友軍機でありました。しかし猶

神田

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かえり神田へよる、ひどい電車。まさにつぶされそう、冬は着ているものがぎごちない

午後、神田へ本を見にゆく。マリ・バーシキルツェフの日記の入っている国民文庫刊行

と思っていることだろうと思いつつ、コートなしの姿で神田へ行った。須田町で

焔で赤くなった。どこだろう、丸の内辺じゃないか、神田らしい。十一時半から四時半までで一旦解除となり、又一時間したら

日暮里

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十二時頃帰る。国と二人だと真暗い日暮里から安心してかえれる、それがくやしい。こういうちょいとしたことで、永い

駒込

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、あんまりすすめるのでレントゲンとることにして急に思い立ち、駒込病院の宮川さんのところへゆく。フィルムがない由。いい折で、きょう

歯へまわってかえろうと思ったら十時半に駒込の布地見にゆくというので、森長さんのために、ワイシャツ地見に

池袋

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都電が系統制になって一系統十銭。のりかえなし。池袋まで最少四十銭也。それでは困るというので国定期を買って

高尾

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高尾善ちゃん来る、自分が茶をもって行ったのに、この男一人膝

日比谷

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きょうは弁当を日比谷の亭でたべて気持よかった。いいことを覚えたと思う。何と

公判第二回、団子坂下でひどく電車来ず日比谷で一時十分、大あわてした。坐って間もなく出廷して来る。

帰りに日比谷をぬけたら、土丘のふところを凹に切って錨のついた自動車が

大宮

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硫黄島、大宮島(グワム)の周辺にアメリカの大機動部隊を発見(三つ)わが連合カン隊

大宮島へは十一日――二十九日二三二三、撃墜四五〇、撃破四機。

日本橋

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日本橋の東京講演社へゆき、宮の必要な原稿用紙を森長さんへもっ

浅草

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まで戻ってやっとのったら、京橋で〒のトラックが前の浅草の横腹にくいこんでしまった。地下鉄にのって上野でのろうとしたら、

新橋

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帰りに新橋まで戻ってやっとのったら、京橋で〒のトラックが前の浅草の横腹に

品川

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杉並、北多摩、荏原、品川等の被害が、漠然と語られている。

京橋

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帰りに新橋まで戻ってやっとのったら、京橋で〒のトラックが前の浅草の横腹にくいこんでしまった。地下鉄にのっ