妖婦 / 織田作之助
地名一覧
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「明日もしうちのお父つぁんに逢ったら、今夜は本郷の叔母さんちへ泊って田舎へ行ったって、そう云って頂戴な」
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の十二階下の矢場の女で古い馴染みだったのと横浜へ逃げ、世帯を持った翌月にはもう実家へ無心に来た。父親は
に飽いてしまった。丁度そこへやってきたのが横浜にいる兄の新太郎で、
「どうだ横浜で芸者にならぬか」と、それをすすめにきたのだった。
安子はやがて新太郎に連れられて横浜へ行き芸者になった。前借金の大半は新太郎がまき上げた。この時安子
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神田の司町は震災前は新銀町といった。
あり、同じ下町でも日本橋や浅草と一風違い、いかにも神田らしい土地であった。
振り向くと、折井という神田の不良青年であった。折井は一年前にしきりに自分を尾け廻し
、何か押しの利く物の云い方だった。折井は神田でちゃちな与太者に過ぎなかったが、一年の間に浅草の方で
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鼻の先に青物市場があり、同じ下町でも日本橋や浅草と一風違い、いかにも神田らしい土地であった。
後に帰って来ると、すぐ家の金を持ち出して、浅草の十二階下の矢場の女で古い馴染みだったのと横浜へ逃げ、
「どうだ、これから浅草へ行かないか」
の方で顔を売り、黒姫団の団長であった。浅草へゆくと、折井は簪を買ってくれたり、しるこ屋へ連れて行っ
でちゃちな与太者に過ぎなかったが、一年の間に浅草の方で顔を売り、黒姫団の団長であった。浅草へゆくと
は団長に祭り上げられて、華族の令嬢のような身なりで浅草をのし歩いた。ところがこのことは直ぐ両親に知れて、うむを云わさぬ
翌日から安子は折井と一緒に浅草を歩き廻り、黒姫団の団員にも紹介されて、悪の世界へ足
の指輪に羽二重の帯や御召のセルを持ち出して、浅草の折井をたずね、女中部屋の夢にまで見た折井の腕に抱かれ
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にすぐ鼻の先に青物市場があり、同じ下町でも日本橋や浅草と一風違い、いかにも神田らしい土地であった。
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が、正月には新銀町へ戻った。せめてお正月ぐらい東京でさしてやりたいという母親の情だったが、しかし父親は戻って