三笠山 大阪 東大寺 奈良 京都

たった一歩、例えばまあ三月堂から男山八幡へ行く道、三笠山へ出る道を右にそれて草原に出て見る、そこで人影はもう余程

と春休みに数日暮したことがあった。その時は大阪にいた親戚により、大阪から今はもう廃業してしまった対山楼

があった。その時は大阪にいた親戚により、大阪から今はもう廃業してしまった対山楼に行った。梅林があり、

かけての奈良の自然の快よさ！　桜時分だから東大寺の、銭を払っては一撞きつかせる焚鐘が殆ど一日じゅう鳴りづめだ。

た。三月末から四月五六日頃にかけての奈良の自然の快よさ！　桜時分だから東大寺の、銭を払っては一

に慾張って処々の寺にあるよい仏像などを見た。奈良には、十九ばかりの頃、中学三年生の弟と春休みに数日暮し

この間、ほんの四五日であったが奈良に行った。そして、短い時間に慾張って処々の寺にあるよい仏像など

点、もっと俗悪に病的になり下っている。悲しいが憎めない奈良の若者の稚気ある口真似と比較にならない、憎々しさ、粗暴さが、

を耳に浚い込む。文学青年という熟語があれば、奈良の若僧中には、美術青年がある。無礼を顧ずいえば、彼

天平、弘仁の造形美術の傑作を研究し、観賞しに奈良を訪ねる。本当の芸術愛好家なら、仏教の信仰をそのものとして奉持

のは、私の性根がひねくれているのだろうか？　奈良の僧侶の多くの者は、祖先の遺産が沢山すぎ立派すぎて或る点

したり何かする事務員とは別々な方が自然だ。京都では、この点、もっと俗悪に病的になり下っている。悲しいが憎めない