華々しき一族 / 森本薫

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諏訪

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諏訪、鉄風。

諏訪 (入りながら)いいえ、フォカスライトは一切使わないのよ。フラットにしてね

。(中の連中に)やあ、いたのか。(諏訪に)ただねそううまくゆくかどうか、ってことを言うだけなんだよ

諏訪 もうたくさん! おみやげ。

諏訪 日曜日をお留守番で、済まなかったわね。そのかわりお土産どっさりよ。

諏訪 そんなんじゃァ、お土産は婢やの方へ回さなきゃァ。

諏訪 だけど、今迄だって他所のよりは、ずっといいのよ。

諏訪 あんまり言いなりになるようで莫迦々々しいんだもの、妾達、始終家

諏訪 じゃ、どうすればいいと被仰るの、そんなこと言って。

鉄風 学校で手紙の書き方くらい教わっとるんだろう。(諏訪に)やはりこれは、君が書いた方がいいんじゃないかね。本来

諏訪 でもあなただって、うっちゃっとけって、賛成したじゃありませんか。

取り出して、頬ばりながら)一向に要領を得んね。(諏訪に)同性愛じゃないか、二人は。

諏訪 少し変なのは、昌さんの方ですわ。

諏訪 どっちからでもいいじゃありませんか、そんなこと。

諏訪 そのくらいで丁度いいところだわ。

諏訪 だって、あなたもう、ちっとも早過ぎやしなくってよ。男だって女

諏訪 どうしてもですって。

諏訪 よろしい。それじゃあ、妾、どうしてもあなたを結婚させます。憶え

須貝 (諏訪の間近く迄上って行って)結婚しない理由を言いましょうか。

諏訪、須貝。

諏訪 どうしても、ですって。

諏訪 よろしい。それじゃァ、妾、どうしてもあなたを結婚さしてみせます。

須貝 (諏訪の間近く迄上って行って)結婚しない理由を言いましょうか。

諏訪 (頭を突いて)彼方へいらっしゃい、彼方へ。

。構いません。どうせ役に立たない頭ですから。(諏訪に並んで坐る)

諏訪 あんまり近くへ寄らないで下さいよ。気味が悪い。

諏訪 藪をつついて蛇を出したと言うわけね。そう言うことと知ったら、早く

諏訪 いいわ。妾も、怒らないことにします。

諏訪 その辺で昌さんを見つけたら、早く帰れって言っといて下さい。聞えて

諏訪 (軽く唄って、鏡の前へ歩いて行く)心あてに……それか

諏訪 何でも。(笑う)

諏訪 言えるようにしておくの。

諏訪 わかった。

諏訪 わかったわかった。(お茶をのむ)

諏訪 冷えてない? だって……。あなたの考えてることが分りました

諏訪 どうぞどうぞ。

鉄風 いいよ、これでいい。ところで、(諏訪に)先刻の話は、どうなった。

諏訪、落ちつかない。

諏訪 (警戒して)え。

諏訪 どうして。

諏訪 だって、考えた上のことなんでしょ。

諏訪 早い方がいいと思ったから……。でもそんなにはっきりした話

諏訪 だって、未納ちゃん!

諏訪 でもそんなことはなにも。

は。静かに話をしろ、昂奮しちゃいかん。(諏訪に救を求めて)おい……。(諏訪ぼんやりして応えない)

ん。(諏訪に救を求めて)おい……。(諏訪ぼんやりして応えない)

諏訪 (意味なく)そう。そりゃ、分らないわ。

鉄風 (諏訪に)少し休んでみちゃァどうだ。横になってみた方がいい

諏訪 今頃泳いだりなんかするからよ。

諏訪 だったら、どうしてお言いにならなかったの。

須貝は未納と一番仲良しにしていながら、一方では諏訪に言い寄っている。かと思うとお前と結婚したいという。(二階

諏訪、二階へ出て来る。

諏訪 いいの、御飯にして貰おうと思って……。

諏訪 どうして?

諏訪 いいわ、何処かへそう言いましょう。

諏訪 一番可哀想なのは母さんだわ。

諏訪 そうは、行かなくってよ。妾は、妾達の家庭を規律のない

諏訪 だけど、あなたの思うとおりにも、なり兼ねますのよ。

諏訪、一寸打たれる。今更らしく、戸口の所へ出て行って外を見る。

諏訪 (我に返って)うん。

諏訪 (外を見たまま)此処よ。