寺坂吉右衛門の逃亡 / 直木三十五
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神奈川まできた時、冬の陽は、薄暗くなっていた。それに雪解けの
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「番町の、堀内源太左衛門正春先生のところでは、門人から、六人まで、義士を
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は、薄暗くなっていた。それに雪解けの道を、戸塚までのすのは、骨であった。吉右衛門は、松屋へ泊った。
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をやるのに、紙屑をすてるようだった。奥さんを、但馬へ帰すのも、今みたいだった。肚は、冷たい人なんだ。坊
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、死ぬことばかり考えていたが――こうして、江戸を見ると、人間、こんな面白い世の中に、生きてなけりゃ損だ。俺は、
口上と名を書いたのとが残っているんだ。江戸じゃあ、もう瓦版が出て、姓名から、石高まで判ってるそうだ。明日に
吉右衛門は、江戸へ引返してきた。宿でも湯屋でも、髪結床でも、討入の話
「いいえ、これから、華岳寺へ参りまして、また江戸へ」
「江戸へ?」
、皆様御無事で、こんな目出度いことは御座りませぬ。江戸は、もうこの噂で持切りで、日本一の忠義の士だと、奥様、追々
「いいえ、これから、江戸へ参って、後始末をすることが御座ります。太夫と二人で、話を
「江戸へ行って参ります」
(この村の人を丸めるのは訳は無いが、江戸の役人は、俺の逃げたのを聞いているだろう。逃げたから?
奉行所から、江戸中へ洩れているか?――今度、江戸へ行っての噂が、俺の運命をきめるんだ――余り称められ
切腹せんでいい。切腹でない?――そうだ、江戸お構い――その辺の所だ。そうだ)
になったように思えた。微笑しながら、早足に、江戸の方角へ歩み出した。
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「その家来が、昨夜、吉良上野を討ちに行って、今引揚げてくるんだ」
いたが、一人も斬られずに、無事にお前さん上野を討取ってきたってのだから、何んと、凄い腕じゃ御座んせ
「吉良れ上野、首無しの段、あわわわわ、話をして、うだっちまった。
「ええ? 吉良上野を――」
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「ちげえねえ。所で、その寺坂め、泉岳寺の人数の中にゃ、いないんだってのう」
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なことになって――お前、生残って寺坂で御座い、品川へでも行きゃあ、女にもてるぜ」