大岡越前の独立 / 直木三十五

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地名一覧

越前

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「越前から、誰か、調べにまいったような形跡はなかったか?」

「越前から?――と、仰せられますと」

「越前の肚が判らぬ」

「越前は、よく人相を見るというでないかのう」

証拠の挙らぬ限り、偽者として処置致すことは、越前の役儀の表として、出来兼ねまする」

済まず、万事は、その上のことで御座りまするが、越前が職にある限り、法を方便には用いませぬ。このことが、もし

「越前が――」

「うむ。万事承引、即刻、打ち立たせよう、越前の手とて、よも、今夜には、立つまい。これから戻って、早馬なら

「越前め、又、何ういう所存になったやら」

ぬでのう。法は活物、臨機応変に妙味があるが、越前のは理非曲直、ただ法を枉げない事に専らで――」

、移るもので不変ではない。わしの考え、わしが越前なら、天一坊の処分は、菅笠が無くとも、こう考えてよかろうのう。つまり

「越前が、紀州を調べ、証拠品を押えて戻り、贋者と断じて、処分し

、天一坊を嗣子とすることの人心への影響は、越前とても十分に心得ておりまするが、某、奉行として、法を守る限り

「頼む、越前、家の宝、国の宝」

伊賀

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と、大膳が、三宝の上の勝栗をつまみながら、伊賀の顔を覗くと

れて、いろいろな幻想を、急速に廻転させながら、伊賀の広い額をじっと凝視めていた。

江戸

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、菅笠を、それから、人々からの聴取書を持って、江戸へ引返してきた。

品川

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「品川の旅宿にて、切腹との儀に御座ります。以上、口上に御座ります」