大阪 東京 日比谷 神田 市ヶ谷

僕の母親は東京にゐるが、父は、大阪にゐる。何んと云つても出て来ない。物好きな読者があるなら、

旅行以外に（それは、毎月一度、父を訪問に、大阪へ行くのだ）外泊した事があるか、或は又、女が泊まつ

と、思つた。そして、これをいゝ口実に、大阪へ行つてしまつた。

大阪で「プラトン社」へ入つて「苦楽」を編輯し、それから、キネマへ

僕の母親は東京にゐるが、父は、大阪にゐる。何んと云つても出て来

）彼女の若い時分、二十七歳の時（現在四十八歳）東京へ脱走してきた、のである。父も食客を置いてゐるから

手を出して、これが、又、差押へつゞきだ。東京へ越さうと、荷造りをしたのが、そのまゝ競売にされるし

で、記者入用の広告を見て、今は無いが、日比谷の角にあつた同社へ行つた。十銭玉一つ。往復だと

になつた。それから、当時「わんや」にゐた神田豊穂と知合になつて「わんや」が金を出して「春秋社」

、思つてゐると、関東大震災だ。揺れやんで、市ヶ谷見附へ逃げて行つた時に、心の底から、