千葉 神田 東京

「ええ。近いうちに千葉でやるんでね、それに出そうと思ってはいるんですよ」

少し言い淀んだ。「すこし金が要りましてね、明日が千葉行きでしょう、もう発田さんの方に話をつけていただいたかと思って

が、とにかく酒でも飲もうということになり、ふたりで神田のマーケットに行った。中山の行きつけの店で、匂いの強い酒をコップ

そのどろどろのシチウを膳の上に見たとき、彼は神田マーケット裏の泥水溜りをすぐ聯想して、いきなり嘔吐がこみ上げてくるのを

ているラジオに牽きつけられていた。ラジオからは、東京裁判の実況放送が流れていた。英語と日本語が入りみだれて聞えてい

ものであった。書いている間、便箋の下では東京裁判のラジオが鳴っていた。三元がまだ碑文谷署にいるかどう