蒼白い月 / 徳田秋声
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経て、須磨の海岸あたりにまで延長していっている阪神の市民に、温和で健やかな空気と、青々した山や海の眺めと
「あれが漁場漁場へ寄って、魚を集めて阪神へ送るのです」桂三郎はそんな話をした。
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つであった。北方の大阪から神戸兵庫を経て、須磨の海岸あたりにまで延長していっている阪神の市民に、温和で健やかな
私たちは間もなく須磨の浜辺へおり立っていた。
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悪くしていた。古い都の京では、嵐山や東山などを歩いてみたが、以前に遊んだときほどの感興も得られなかっ
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私たちはそこを出てから、さらに明石の方へ向かったが、そこは前の二つに比べて一番汚なかった。
。淡路へわたる船を捜したけれど、なかった。私たちは明石の町をそっちこっち歩いた。
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、すべてが見せもの式になってしまっている奈良にも、関西の厭な名所臭の鼻を衝くのを感じただけであった。私が
家がいたるところに、ちらほら見えた。塀や門構えは、関西特有の瀟洒なものばかりであった。
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気持を悪くしていた。古い都の京では、嵐山や東山などを歩いてみたが、以前に遊んだときほどの感興も得
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は十八年も前に、この温和な海を渡って、九州の温泉へ行ったときのことを思いだした。私は何かにつけてケアレス
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そこは大阪と神戸とのあいだにある美しい海岸の別荘地で、白砂青松といった明るい
といった明るい新開の別荘地であった。私はしばらく大阪の町の煤煙を浴びつつ、落ち着きのない日を送っていたが、京都
大阪の町でも、私は最初来たときの驚異が、しばらく見ている間
郊外の住宅地もしくは別荘地の一つであった。北方の大阪から神戸兵庫を経て、須磨の海岸あたりにまで延長していっている阪神
たが、今は健康も恢復して、春ごろからまた毎日大阪の方へ通勤しているのであった。彼の仕事はかなり閑散であっ
三十年以前に死んだ父の末子であった私は、大阪にいる長兄の愛撫で人となったようなものであった。もちろん年齢に
いたるところにたくさんあるんだね。もちろん東京とちがって、大阪は町がぎっしりだからね。その割にしては郊外の発展はまだ遅々
あった。で、私がこのごろ二十五六年ぶりで大阪で逢った同窓で、ある大きなロシヤ貿易の商会主であるY氏に、一度
くれろというのが、兄の希望であった。私は大阪でY氏と他の五六の学校時代の友人とに招かれて、親しく談話
「あすこが大阪かね」私は左手の漂渺とした水霧の果てに、虫のよう
「ちがいますがな。大阪はもっともっと先に、微かに火のちらちらしている他ですがな」そう
その日も桂三郎は大阪の方へ出勤するはずであったが、私は彼をも誘った。
の顔を、私は眺めまわしていた。でも言葉は大阪と少しも変わりはなかった。山がだんだんなだらかになって、退屈そうな野
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私の気分とはだいぶ距離のあるものであった。ただ宇治川の流れと、だらだらした山の新緑が、幾分私の胸にぴったりくるよう
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てしまったし、すべてが見せもの式になってしまっている奈良にも、関西の厭な名所臭の鼻を衝くのを感じただけで
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を浴びつつ、落ち着きのない日を送っていたが、京都を初めとして附近の名勝で、かねがね行ってみたいと思ってい
していても、真の生活意識はここでは、京都の固定的なそれとはまた異った意味で、頽廃しつつあるのでは
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そこは大阪と神戸とのあいだにある美しい海岸の別荘地で、白砂青松といった明るい新開
住宅地もしくは別荘地の一つであった。北方の大阪から神戸兵庫を経て、須磨の海岸あたりにまで延長していっている阪神の
いた。山と海と迫ったところに細長く展がった神戸の町を私はふたたび見た。二三日前に私はここに旧友を
なかにいた。そして少し話に耽っているうちに、神戸へ来ていた。山と海と迫ったところに細長く展がった神戸
「神戸は汚い町や」雪江は呟いていた。
「神戸も初め?」私は雪江にきいた。
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がないわけにはいかなかった。学校を出てから、東京へ出て、時代の新しい空気に触れることを希望していながら、固定的
彼は眉目形の美しい男だという評判を、私は東京で時々耳にしていた。雪江は深い愛着を彼にもってい
広い土地が、まだいたるところにたくさんあるんだね。もちろん東京とちがって、大阪は町がぎっしりだからね。その割にしては
私は女は誰もそうだという気がした。東京に子供たちを見ている妻も、やっぱりそうであった。
「それあそうや。私も東京へ一度行きます」
「それああんた、あんたは天麩羅は東京ばかりだと思うておいでなさるからいけません」桂三郎は嗤った。