本郷 下谷 信濃町 水道橋

やれ下谷の女の所へ自分を連れて行くとか、本郷の何處とやらに恁ういふ女が居るから彼所へも連れて行くとかいふ

それから指井は下谷に豪商の持物になつて居る女が居て、甚大くそれが戀着し

指井はその他にやれ下谷の女の所へ自分を連れて行くとか、本郷の何處とやらに

からついて行つた。水道橋から甲武線の電車に乘つて信濃町まで。其處から二丁となかつた。

行かるゝかな』と笑ひながら後からついて行つた。水道橋から甲武線の電車に乘つて信濃町まで。其處から二丁となかつた。

ますから、一寸此處まで來て呉れませんか、今水道橋の自動電話に居ますから。』

潰れさうな日蔭の冷い道を乾風に吹かれて急いで水道橋まで下りた。恐ろしく寒い朝であるやうな氣がした。

それから三十分ばかり立つと自分は又水道橋から電車に乘つた。