野尻湖 妙高 妙高山 富士山 斑尾山 日本アルプス 東京

柏原から野尻湖まで一里ばかりの間、朝霧が深くかゝつてゐて、路上の草

を形づくる山の一つである。振り返つて見ると、妙高、黒姫、飯繩の三山が、これも霧の中から徐に姿を見せ

全く轉び出たやうに孤立してゐるのではない。妙高、戸隱、飯綱の諸山は相呼應して、嚴として高原の

、路も、村落をも沒してゐた執念い霧は、妙高の頂に逃げ集つてゐたが、正午を過ぎる頃から、又其頂

關川の上流、妙高山の中腹に當る赤倉温泉から少し下つた處に、「地震の瀑」といふの

のはこの山の美しい姿であつた。しかもこの山は富士山のやうに全く轉び出たやうに孤立してゐるのではない。妙高、

湖の東の方にあつて、逃げゆく霧の中から斑尾山が眞正面に見え出して來た。信越の國境を形づくる山の一つ

靜かな湖上から眺めやつた三山の姿は、所謂日本アルプスのやうな、連嶺の重苦しさはなく、山に向ふといふ感じを最も明か

「こんな處にこんな池があるといふことが、東京までも知れて居るんですかね。」