石ころ路 / 田畑修一郎
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の娘たちの話をして聞かせた。ちょうど途中の伊豆村というところで大きい風呂敷で包んだ荷箱を背負ってくる娘さんに会った。
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にあっていちような灰色の中にかくれてはいるが、東京のあるあたりは北方だ。あすこには今どんなことが起っているのだろう
しかしちっともそれらしくなくて、小柄で真黒で痩せて、ちょっと東京の裏店に住んでいる落ちぶれた骨董屋というところだ。何かといえば
「タイメイ」という人は若い指物師で、やはり東京に何年か出ていたのだが、病気で帰っているという
のためもあるがそう思って帰ってきた。ところが東京の店の主人が自分をひきもどそうとしてなかなか仕事道具を送ってくれないの
いくらでも話をつづけるのであった)女といっしょに東京に出た。だがその女とも今は別れた。「女は今伊豆
をたたき起した農家の娘さんで、「タイメイ」さんが東京にいた時分やはり上京して女中奉公をしていたとかで、
娘さんは笑いだした。東京に女中奉公していたとき、猫イラズをのんだという。
優しさの入りまじったところがあり、一方、子供のときから東京で永い間教育をうけた者が島にいつかされたとなったら
バタをつくることから一家の仕事をやっている。他に東京の女学校を出た養子の娘さんがいた。奥さんの姪にあたる
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技手をやめて帰った男で、弟の方はこれも銀座の不二屋のボオイを七年もやっていたくらいで、息子二人も
彼が何かといえば唄う歌、「恋し、恋しい銀座の柳」の後でも「そうです。ええ、そうです」とつけ加えるの
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。生家は没落して、今では妹の嫁ぎ先きが池袋で果物屋をしているのがあるきりだという。
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や、奥さんから聞いたところを綜合すると、民さんは日本橋の大きい問屋の生れで、暁星中学三年まで行ったという。そのころ