出世 / 菊池寛

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地名一覧

本郷

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「ああきっと、本郷回りの電車でしょう。それだと、巣鴨の車庫へ届けたのでしょう」と、

、あの金色の唐草模様はどこにも見出されなかった。本郷も同じことだった。彼は、足と目とをさんざんに疲らせて、その

上野

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譲吉は、上野の山下で電車を捨てた。

「ああ上野、あそこが唯一のしかも最後の希望だ」彼はもう日が暮れかかって

彼は、その翌日から毎日のように、上野の図書館へ通った。が、その仕事がどんなに退屈で不便であった

上野の図書館へ行ったものが誰も知っているように、正面入口に面し

東京

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なしに頭の中に浮んできた。彼が、初めて東京へ出てきてから、六、七年間の、暗いみじめな学生生活の

ては、場所にも人にも、何の馴染みもない東京の中では、図書館がいちばん勝手が分かるようであった。

彼が田舎の中学を出て、初めて東京へ来た時、最初に入った公共の建物は、やっぱりあの図書館であっ

完成されて見えただろう。その頃の彼には、東京におけるいろいろな設備の中では、図書館のありがたさだけがいちばん身

がちな、東京崇拝に原因しているいろいろな幻影が、東京における実際の建物、文物、風景、人物に接して、ことごとく崩れて

田舎の中学生にありがちな、東京崇拝に原因しているいろいろな幻影が、東京における実際の建物、

。彼は、また巣鴨から三田までの長い線路を――東京のほとんど端から端を、頼りない不快で乗った。が、三田の車庫に

日比谷

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のように、厄介になってる家からは比較的に近い、日比谷の図書館へ行って、翻訳を続けてやった。

紙と弁当とを、一緒に包んだ風呂敷を提げて、日比谷の図書館へ行ったが、図書館へ行って、仕事に取りかかる前の一休みに

。彼は電車が内幸町へ来ると、急いで飛び降りて、日比谷の図書館へ行ってみた。が、そこのカタログには、幾度繰り直し

内幸町

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車台の羽目板の間に置いたことに気がついた。内幸町であわてて降りた時に、すっかり忘れてしまったのだと思った。

の迂遠さが、少しばからしくなった。彼は電車が内幸町へ来ると、急いで飛び降りて、日比谷の図書館へ行ってみた。が

巣鴨

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監督は「巣鴨の電車ならば、春日町の車庫か、巣鴨の車庫かへ、車掌が届けているでしょう。そんな風呂敷包なら誰も持っ

へ行ってみた。が、そこにいた監督は「巣鴨の電車ならば、春日町の車庫か、巣鴨の車庫かへ、車掌が

の監督が、彼の希望を繋いでくれた。が、巣鴨まで行ってみると、そこにもやっぱり「希臘彫刻手記」は来てい

「ああきっと、本郷回りの電車でしょう。それだと、巣鴨の車庫へ届けたのでしょう」と、そこの監督が、彼の希望を

の消えかかった希望を繋いでくれた。彼は、また巣鴨から三田までの長い線路を――東京のほとんど端から端を、頼りない不快

神田

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彼は、すぐ神田へ行った。そして、多くの古本屋をほとんど軒並に探してみた。が

三田

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彼は茫然とした淋しい情ない心持で、まず三田の車庫へ行ってみた。

すぐ引っ返して春日町へ行った。三田から春日町までの、あの長い丁場を、

それだと、もう一度三田の車庫へ行ってみたらどうです」と

彼は、また巣鴨から三田までの長い線路を――東京のほとんど端から端を、

頼りない不快で乗った。が、三田の車庫にもやっぱり彼の風呂敷包は見出されなかった。

その日の捜索をあきらめて、三田行の電車に乗った。また彼の頭には新しい希望が湧いた。

春日

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「巣鴨の電車ならば、春日町の車庫か、巣鴨の車庫かへ、

やっと安心して、すぐ引っ返して春日町へ行った。三田から春日町までの、あの長い丁場を、

が、春日町へ着いてみると「希臘彫刻手記」は、そこへも来ていなかった。