本郷 浅草 新宿 東京 田原町

たちの悪い運転手は新宿からここまでのせるのをいやがって本郷あたりで故障だからといって君等を下ろしてしまう。このあいだもそういう目

浅草公園の瓢箪池の辺を歩きながら藤次郎は独り言を云った。然し之は

一定の公休日でない今日、彼が一日のひまを貰って浅草公園を歩いているのは大して不思議な事件ではないのだ。

藤次郎は燃えるような胸の焔をいだきながら浅草公園の池の辺を歩いている。

て自分も夕方から出たのだった。彼は要之助を浅草までうまくつれ出した。之からは凡てかねての計画通りにやらなければならない

一週間程過ぎた或る日の夕方、藤次郎は再び浅草に現われた。此の時は要之助も一緒である。要之助の休み日なの

けれども、浅草の商人達は要之助にとって幸にも売った相手をおぼえていた

藤次郎が新宿のレストランＮ亭にコックとして住み込んだのは今から約一年程

で円タクが動かなくなったらどうする。たちの悪い運転手は新宿からここまでのせるのをいやがって本郷あたりで故障だからといって君等

今朝、国から来た友達をつれて東京見物をさせてやるから、という好加減な口実を設けて一日

ね、君、之は相当切れそうだね、実はこないだ東京に一寸来て、間もなく又帰った国の友達がね、護身用

ある。いつもなら他の館に入る彼は何思ったか田原町まで歩いて電車に乗った。