銚子 東京

彼女は銚子に酒を満たして、銅壺につきこんだ。

私はしばらく一緒に遊んだ。それから家に帰った。銚子などはもうお盆ごと、持ち去られていた。

閉鎖後も、政界に暗躍してる八杉の世話になり、東京近くのこの町にのんびり暮している彼女のこととて、眼に宿るその陰

「今日は、つまらないことになったの。東京から、友だちが二人、お祭りを見に来ることになってたのに、

「へんね、東京に帰るのが、何だか怖いような気がしたりして……

先のことだと、私は思っていた。――東京の或る家のお上さんが、身体がわるくなったから、政代に来て

、なんだか訳が分らないのだ。――彼女が東京に帰ったがよいかどうか、私には猶更分らない。

「河野さんは、いつか、東京に出るんでしょう。」

「そんなことは、分りませんよ。ここだって東京だって、まあ同じようなものだし……。」

や、と私は心の中で叫び、つぎには、東京に行っちゃいや、なに行っちまえ、と一緒に呟いた。――そのとき