ロンドン 箱根 鎌倉山 伊豆 富士山 銚子 横浜 東京 品川 銀座

たこと、その消息はあなたもよく知っていよう。私はロンドンやパリーの郊外に於ける菜園の現状を調べ、その集約的栽培法の理論と

浮出していた。晩になると、あの富士山の左手、箱根の山に、航空燈がきらめく……と、そんなことをあなたは話した。

、あなたは覚えているだろう。あの日の午後、私たちは鎌倉山のロッジの前で自動車を棄てた。ロッジは何かの普請中でしまってい

それが、鎌倉山のあの時からちがってきた。海を眺め、空を仰ぎ、富士山を見やり

煙草をくゆらしながら朗かに笑っていた。それはもう、鎌倉山より以前のあなただった。あなたがそんなにたやすく、現在の自分をふみにじって昔

方が力強い。あなたたちが綱島に行き、磯子に行き、伊豆へまで行ったことは、私の耳にも伝わってきた。あの男の

いった。秋草の花、薄の穂、青い海、そして富士山がくっきりと空に浮出していた。晩になると、あの富士山の左手、

くっきりと空に浮出していた。晩になると、あの富士山の左手、箱根の山に、航空燈がきらめく……と、そんなことをあなた

時からちがってきた。海を眺め、空を仰ぎ、富士山を見やり、路傍の秋草を見い見い、恋人どうしのように……全く恋人どうし

には、食いちらされた料理の皿が並んでいて、銚子の白い肌が目立っていた。岡部周吉が赤い顔をして、一人で

の心理というようなことを論じていた。みよ子が銚子をもってやって来たのを、じっと見やって、だんだん綺麗に女らしくなる

それは遊びではなかった。私たちは誓った。大船から横浜をすぎて品川を出るまで、自動車の中で、私たちは手を握りあってい

な商売で生活に困らないだけのものを得て、また東京にまい戻り、さてこれから如何なる生活を為すべきかと思い迷ってる、一介の不徳

東京にまい戻ってから、私がいろいろな仕事を考え廻したこと、そして最後に

た躊躇の素振だった。ただそれだけのものが、東京で私がふれた一番深い感情だったのである。

は、みますの娘のみよ子のうちにあった。以前東京で遊蕩の生活をしていた時、花柳界のそばのその小料理店み

た。七年間の上海でのうらぶれた生活のあとで、東京にまい戻ってきた時、私がふれた一番深い感情は、みますの

はなかった。私たちは誓った。大船から横浜をすぎて品川を出るまで、自動車の中で、私たちは手を握りあっていた。

た。ホールへ行ってもあなたは私とだけ踊った。銀座の人中をも二人で歩いた。友人たちが出入するカフェーへも私は