奥日光 赤坂 大阪 富士山 丸の内 山形 上野広小路 田端 東京 上野

牧野良一は、奥日光の旅から帰ると、ゆっくり四五日かかって、書信の整理をしたり、勉強

「奥日光……あの辺はいいね。戦場ヶ原から湯本温泉へかけて……。あすこに

の地位を占めていたが、ふとしたことから、赤坂の芸妓に深くなって、めちゃくちゃな生活に陥ってしまった。そしてせっぱつまった揚句

生活に陥ってしまった。そしてせっぱつまった揚句、その女と大阪に逃げだして、一年ばかりどうにか暮していたらしい。それから、よく

それから彼は現在の境遇を話した。大阪で女を殺害しかけてつかまった時、その少しまえに犯した詐欺まで発覚

の中の鉱物質、まあ湯の花だね、それがつもって富士山みたいになり、更に日に日に高くなりながら、その頂上からは温泉がふい

丸の内のオフィス街は、冬の四時頃にはもう日の光がなく、退出

施療の精神病院にはいった。父親の遺骨は、故郷の山形へ送られ、母親は、川村さんの家で、家政婦として働くよう

川村さんの家のある本郷林町の高台から、上野広小路の方へ、良一は彼についていった。途中、すれちがう人の顔

の斑点が天井一杯に戯れているし、凉しい風がかなた田端辺の高台から吹いてくる。

いた。昔は田園だった低地の家根並の彼方、田端一帯の高台は、正面に日光を受けて、明るく暖く輝いていたが

京城へ行った。覚悟をきめて働き通し、数年後東京へまい戻って、製菓会社に勤めていた。刑余の身をこうして

そこを出て、待たしておいた自動車に乗った。そして上野の池の端の方へ、支那料理をたべに行った。