鎌倉 鹿児島 東京

彼女の子の信一は、鎌倉にある山川家の別荘にいるのでした。はじめは彼女も、そちらにい

たのでありました。つまり、彼女は信一と共に鎌倉に住むか、山川家に住むか、どちらかにすべき場合でありました

でした。それを前提として考えますれば、彼女が鎌倉に住むことは、或は情愛を通じ合う途があるかも知れぬことになります

酔っ払って、正体もなくなっているのに、まだ、到来物の鹿児島の本場の焼酎をあおろうとしたから、彼女はそれをとめた。むり

戦災にあって、その別荘に住むようになってから、東京の山川家に事ある毎に、彼女は手伝いに出て来ました。