金山揷話 / 大鹿卓
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―それはこういう話なんだ。夏のころ市岡が大阪の中野君の事務所へ訪ねて来たことがあって、これこれの硫化の
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を受けとっていた。それで土田も共に、今その札幌へむかう途中だった。私は森山が待っていると思って、何か心
ている事がわかった。実に奇遇だった。市岡は札幌の家へかえるので其処で別れ、それから森山君、中野君、僕と
というふうだったし、酔うとまた酒癖が悪かった。札幌で僕が紹介した料理屋だがね。寝ていて叩いても起きなかっ
札幌の駅前の広場に立つと、目の前に一文字に通じたアカシヤ並木の
土田が私をかえりみて外面を指した。嘗つては札幌で一二を争う旅館だったそうだが、今は造りも古び、思いなしか座敷
はあなた方の御便宜のために申し上げているのです。札幌の銀行で受取れるようにすればいいわけでしょう」「いや、私達はどうして
夜は札幌在住の同窓達が集って、森山、土田、私と、三人のために
のために一夕の宴を設けてくれるとの事で、札幌へ引き返してそれに出席した。相会する者十余人、いずれも何等か
の奥深さを思って再び心がうるみだした。土田が札幌まで同道してくれたのも、商用の方はむしろつけたしで、専ら
「うん、今日だ。札幌を九時五十分の急行だとかいってたから、今頃はもう長万部より
「ひと汽車遅らして、札幌で見送ってやるとよかったが、そうするとおれ達は名寄かどこかで
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旧友森山の事だった。森山は自ら責任者として、オホーツク海の見える辺陲の山奥で創業の事にあたっている筈だった。私はその
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来産金額も九州の鯛生を抜き、国内第一の金山になっている。ともかくも、売った方も買った方も、共に幸運
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來た。その冬服冬外套も重苦しく感じないほど、私も北海道の寒さを昨日以来体得して来た。だが、さすがに霏々と降りしきる
した鉱山熱の片影に触れたりする。それも私の北海道旅行のいわば目的の一つだった。
て土田へ電話をかけた。すると「僕もいっしょに北海道へ行く事にした。今夜上野駅で待ち合わせよう」という返事だった。私は
がS金山の鉱業所長をしていて、土田も北海道へ行くなら其処へ行けと私にすすめていたからだった。S金山は
それもぐッと押しつまった三十日だった。僕は十日ばかり北海道へ来ていて東京へのかえり途だったが、長万部の駅で偶然森山
のだった。住友の当事者は、山代金を渡すとき、北海道まで大金を持参するのは途中の危険もおもんぱかられるから、小切手で差し上げようといっ
「いま北海道だけでも、何万人という有象無象が山々へ探鉱に入っているそうだ
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得て予想外の繁栄をきたし、ここ数年来産金額も九州の鯛生を抜き、国内第一の金山になっている。ともかくも、売っ
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定山渓ではザクザクと凍えた積雪を踏んで宿へ入った。どてらに着換え、太い
なく醒めてしまった。私には、一昨日の朝に定山渓で見かけた傷病兵の白衣姿がちらついてきた。また、荒涼と果しなくつづく
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うえに起きたさまざまな変化について語り合ってきた。秋田鉱山専門学校の同じ寄宿舎で寝起きしたのは、もう十数年の昔に
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いっそう荒涼と眺めわたされた。それに一昨夜発ってきた東京は未だ晩秋で、街をゆく男達は誰も彼も合服姿だった
三十日だった。僕は十日ばかり北海道へ来ていて東京へのかえり途だったが、長万部の駅で偶然森山君や中野君と
、中野君、僕と、三人が一緒になって、東京までほとんど飲みつづけだった。ハハハ……」
しれないな。そら、例のあの男だよ。ついこないだ東京の新聞にも小さくでていた……」
うちにどういう話合いになったものか、或る日彼等は東京へ行って来るといって、ぞろぞろと繋るようにして宿を出た
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に行った。土田は近郊に鉱山機械の工場を持ち、銀座裏の或るビルディングにその事務所を置いていた。同窓達は地方から出京