棺桶の花嫁 / 海野十三
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して、五銭の蝋燭を四本と、その外に東北地方から来たらしい大きな提灯一個八銭とを買った。
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雷門を離れると、もう真暗だった。そこで買って来た提灯をつけたお千
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「ホラこの前吾妻橋の上で行き会ったあんたのいいひとネ。あの女学生みたいな娘がサ、
たのだ。震災の日に生き別れ、それから一度焼け落ちた吾妻橋の上で睨み合って別れ、それからずっとこの方彼女を見なかった。とうとうミチミは
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別れとなったこととは夢にも思わず、彼は丸の内の会社へ急いだ。彼の勤めている会社は、或る貿易商会であった
十七日から、彼は丸の内へ出勤することになった。商会は焼け跡に、仮事務所を作り、再び商売
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浅草橋から駒形へ出、そして吾妻橋のかたわらを過ぎて、とうとう彼等の愛の巣のある
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空虚の棺桶は、ローマの国会議事堂前へなぞらえた壇の下に、据えられていたが、これはふたたび
七、八分も過ぎて、ローマの群衆はようやく及第した。ちょっとでも杜先生に褒められると、少女たち
「おお、ローマの市民たちよ!」
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支配人のブラッドレーに呼ばれた。行ってみると、これから横浜の税関まで行ってくれということだった。
重大なることを察した。これは恐ろしいことになった。横浜がこんな騒ぎでは、東京とても相当やられているであろう。彼はそこで
さえ感じられたので、彼は重大決意のもとに、横浜から東京までを徒歩で帰る方針をたてた。もしうまくゆけば、途中でトラック
杜は横浜の地理が不案内であった。東西の方向を知るにもこの日天地くらく、
あたしゃ好きなところへ行っちまうよ。――ああ、あのとき横浜の崩れた屋根瓦の下で焼け死んじゃった方がどんなに気持がよかったか分りゃ
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も、さっき聞いた話では、あたしの住んでいた本所の緑町はすっかり焼けてしまったうえに、町内の人たちは、みな被服廠
杜は人妻お千を伴って、この橋を浅草の方から本所の方へ渡っていた。なにしろ足を載せる板幅がたいへん狭く、その上ところどころ
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、同じ九月一日の午後四時ころだった。場所は横浜市の北を占める高島町の或る露地、そこに提灯屋の一棟がもろに倒壊
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「どうだ、今夜は日比谷公園の新音楽堂とかいうところへいってみようか。軍楽隊の演奏があって
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「こんな方へ来てどうするの。柳島を渡って千葉へでも逃げるつもりなのかネ」
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君に命令するよ。その話はもうおよし。それに日比谷の陸海軍の合同軍楽隊の演奏がもう始まるころだから、もうここを出なく
二学期だわ。――あたしきょう、始業式のかえりに、日比谷の電気局によって、定期券を買ってくるわ」
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入れて、省線電車の乗り場に急いだ。そして正午まえの東京を後にしたのだった。
目下の重大なる事態をハッキリ認識する力がなかった。かならず東京へ電話が通ずるつもりの彼は、万国橋を渡ったところに自働電話函
これは恐ろしいことになった。横浜がこんな騒ぎでは、東京とても相当やられているであろう。彼はそこで始めてミチミの身の上を
そうだ、これは、一刻も早く、東京へ帰らなければならない。彼は鉄条網のような電線の上を躍り越えながら
か。なんとかして電車や汽車にのって、早く東京へ帰りたいと思った彼は、桜木町の駅に永い間待っていた
られたので、彼は重大決意のもとに、横浜から東京までを徒歩で帰る方針をたてた。もしうまくゆけば、途中でトラックか
に追われて右往左往する魂宙の人々をつかまえては、東京の方角を教えてもらった。
翌九月二日の午前六時のこと。場所は、東京の真中新橋の上にちがいないのであるが、満目ただ荒涼たる一面の
たる青年、見るからに文化教育をうけたらしいスッキリした東京ッ児――それが百年も前からミチミを恋人にしていた
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があって「しんばし」の文字が読めるから、これが銀座の入口であることが分るというまことに変り果てた帝都の姿だった
彼はふたたび焼野原の銀座通へ出て、それからドンドン日本橋の方へ歩いていった。おどろいた
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二日の午前六時のこと。場所は、東京の真中新橋の上にちがいないのであるが、満目ただ荒涼たる一面の焼け野原で
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「お内儀さんは、上野までのせていってもらったら、いいのに……」
た森が見えたが、これがよく考えてみると、上野の森にちがいなかった。なにしろこの辺は目を遮るものとてなんにもない
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僕は僕で、これから会社へちょっと寄って、それから浅草の家がどうなったか、その方へ大急ぎで廻らなければならないん
杜は人妻お千を伴って、この橋を浅草の方から本所の方へ渡っていた。なにしろ足を載せる板幅がたいへん
、ミチミを抱かんばかりにして、焼け橋梁の上を浅草側に向って立ち去るのであった。
「よし、とにかく買おう。じゃこれから浅草まで買いにゆこうよ」
二人は吾妻橋を渡って、浅草公園の中に入っていった。仲見世はすっかり焼け落ちて、灰かきもまだ
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杜は焼け土の上を履んで、丸の内有楽町にあった会社を探した。
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彼はふたたび焼野原の銀座通へ出て、それからドンドン日本橋の方へ歩いていった。おどろいたことに、正面に見たことも
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浅草橋から駒形へ出、そして吾妻橋のかたわらを過ぎて、とうとう彼等の愛の
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亭主じゃなくて、その前にちょっと世話になっていた麹町の殿様半次という男なのよ。明るいところへ出られる身体じゃないん
「たしか麹町の殿様半次とか云っていました」
「――つまりこの女の情夫である麹町の殿様半次が一番怪しいということになる。半次ならやりかねないだろう」
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ミチミの住居は、隅田川の同じ東岸に属する向島にあった。そして同じく広々とした焼跡に立つバラックであって、どっち
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松島準一と房子とは、京橋で下りた。そこには大きいビルディングがあって、そこの二階では
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両国橋の袂までくるとお千は、そういってまた声をあげて泣きだした
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ミチミの住居は、隅田川の同じ東岸に属する向島にあった。そして同じく広々とした焼跡に立つ