深夜の市長 / 海野十三
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やがて車は、賑やかな電灯に輝く雷門の附近まで来たので、僕は惜しい気持がしたけれど、マスミの肩
「雷門へ来たよ、マスミちゃん。……これからどっちへゆけばいいのかね
「もう雷門! そこで左へ曲るんですわ。あたしの家、吉野町なんです
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這入るときよりは数等楽々と、丸の内の第十三号館の表に出た。
「でも、何だってこんな丸の内まで、お照さんを探しに来たのかね。あの女だったら、今頃
の潜在意識が、円タクをここへ命じたのであろう。丸の内の十三号館、大いによろしい。今夜こそ、あの街の科学者速水輪太郎をとっちめて呉れる
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割づたいに亀井戸を抜け、市電終点猿江を渡って工場街大島町まで伸ばしてみようと。だが結局後に述べるような突発事件のために、
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深夜の市長』さんに万一のことがあったら、あたしゃ、浅間の奴の咽喉笛を喰い切ってやるわ」
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面白くないと思ったので、足を向きかえて、久し振りで日比谷公園の中に入っていった。
あの午近い、日比谷公園の花壇で、マスミからこの子供を押しつけられたときには、全く弱った
て、辛うじて思い停った。そういえば、先頃、マスミは日比谷公園で動坂の自動車にノコノコ乗りこんだりしたが、それから考えると、この
あったのだ。目黒の苺園ホテルを忘れたか、日比谷公園を忘れたか。いやいや、お前はもっと重大な義務からも逃避している
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「河の向うというと……本所ですか、深川ですか」
「君は辰巳芸者のいる深川門前仲町の待合街を知っているかネ。ところでそこに紅高砂家
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ナニシロコレハ一篇ノ小説デアル。作中、T市長ダノ銀座ダノトイウ名詞ガ出テクルガ、コレハ決シテ何処カノ帝都ニアッタ実話ナドヲもでるニシタモノデハゴザイマセン。
「なアに所番地なんか要るものか。……銀座のM百貨店の裏通りにブレーキという十銭洋酒立飲店がある。夜
を届けろと命令したのだった。その方法として銀座の十銭スタンドへ行って、耳朶にRと入墨のある虎御前を見つけ
唯今は、もう十一時をかなり廻ったから、帰ってまた銀座裏まで出直すのは億劫だし、そうかといって手ぶらでは行って
定まった。時間はもうたいへんに遅いけれど、ともかくもこれから銀座裏の十銭洋酒店ブレーキへ行って、それとなく様子を見て来る
それから二十分ほど後のこと、僕は銀座裏のブレーキの門口に立っていた。内部を窺うと、外はもう
であるというのがお照の話だった。僕は銀座近くのビルディングの高い場所にあるレストランで、夕食後の飲物を幾度となく
僕は絹坊を伴って灯の入ったばかりの銀座裏へ歩いていった。彼女の足どりはだんだんと活発になり、果ては
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た。そして一台の円タクを拾うと、それに乗って浅草の住居の方角へどんどん急がせた。
へ帰ろうか」というので、僕はそれに乗り、浅草のわが家へ向けて走らせた。
出て、丁度そこへ流してきた円タクを呼びとめると、浅草まで五十銭でゆくように交渉して、その中へ乗りこんだ。深々と
「浅草なんですのよ。あたし恥かしいけれど」
「なアに、浅草はいいところです。僕も浅草に住んでいるのですからネ」
「なアに、浅草はいいところです。僕も浅草に住んでいるのですからネ」
大通りへ出ると僕は円タクを呼び止めた。浅草まで一円でいってくれというと、運転手と助手は、マスミの方
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に下した僕を別段怪しむ様子もなく、スピードをあげて有楽町の方へ走り去った。目をあげて向うを見ると、月も星も
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僕に、同じような使いをさせた。須田町支店、上野支店、金杉支店という順序に、同じような順礼が続いたが、どこ
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である。――頭髪を短かく刈りこみ、色眼鏡をかけた目黒支店長は、屋台寿司の出てくる薄暗い横丁で大袈裟に驚きの様子を現わし
の、T市の反対側に位するところの明治昼夜銀行目黒支店だったのである。――頭髪を短かく刈りこみ、色眼鏡をかけた
僕は「深夜の市長」と、目黒の通りを肩を並べて歩みながら、さっきから聞いてみたいと思った
目黒の薄暗い鉄橋の上で、僕は暫く夜気を湯あみした。
「じゃそれと決めて……その代り目黒を通るのをよして、エビスの方へ抜けて呉れ」
のある亀井戸の街へ廻らせ、それから順路を追って目黒へ行くよう命ずることを忘れなかったのには感心した。
に飛びだした。そして通りで、空の円タクを停めて、目黒へ走らせた。輪太郎は要心深くも、まずその車を、一旦「深夜
深夜の市長」というのを隠し、「今夜、例の目黒の昼夜銀行に午後七時五十一分に現われ、沢山のニッケル十銭銅貨を
続いて思いだしたことは、目黒支店で、例の金を受取っていった男の右手の指が四本
マスミちゃん」と僕は声をかけた。「君は昨夜目黒の陸橋のところで僕に会ったネ。あのとき僕が君ン家の
いる。彼は同夜午後七時五十一分ごろ、明治昼夜銀行目黒支店に突如として現われ、そこで小切手九十九円八十銭を出し、引換え
お前は今までに度々マスミを救う機会があったのだ。目黒の苺園ホテルを忘れたか、日比谷公園を忘れたか。いやいや、お前は
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を嚥むといった。――本当だったよ。先刻、日比谷脇で車内の二人の屍体を検案したよ」