超人間X号 / 海野十三
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「ああ、あれが富士山ですか」
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ように小さくうつったが、それもたちまち見えなくなって、関東平野がまるで地図のように、浮かびあがって来たのだった。
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のために命令をうけて、この研究所を監視している山形警部の私服姿であった。
X号は、機械人間たちを呼びだして、山形警部逮捕の命令を出した。
山形警部は、失心状態になったままX号の前へ連れてこられた
は仕事にかかった。彼は、機械人間に命じて、山形警部をおさえつけ、その頭に脳波受信機の出力回路を装置してある冠を
X号は、それからのちは山形警部の怒号にはとりあわなかった。彼は仕事にかかった。彼は、
ないぞという態度を示した。しかるに、そのとき、山形警部の押しこめられている函の、上部についている高声器から、はっきり
谷博士の頭の中に浮かんだ考えが、そのまま山形警部の声になって、部屋中にひびきわたった。
すると博士の頭の中に浮かんだ回答が、山形警部の声で出て来た。こんなことを繰りかえしたものだから、博士
それから彼は、函の中から山形警部を引っぱりだすと、まるで魚を料理するように警部の頭蓋をひらいて
山形警部の脳を移植した人造人間のからだは電圧電気室にはこび入れられた
電気メスを手にとって頭蓋をひらき、さっき移植した山形警部の脳髄を取りだした。そしてそれを持って、大急ぎで、もう一つ
「なにが、お嬢さんだ。私は山形警部だ」
検察庁の特別捜査隊にその人ありと聞こえた、名警部山形だったから。
少女のからだを持った山形警部は、たいへんなかっこうで、研究所の外にのがれでた。それはやっと
「おお、足柄君。わしは山形警部だが、大至急そのへんの家から、服を借りて来て、わし
と、少女姿の山形警部は、相手が部下の足柄君であることをたしかめ、うれしくなって、
を出したので、ますますおどろいて、うしろへさがるばかり。山形警部は、ここで、足柄に逃げられてはたいへんと、ますます力を入れ
が、ようやく山形警部が、「君は、この寒い山の中で裸の娘をいつまで
、そのことを足柄警官にいった。すると足柄は、山形警部を見おろしてにが笑いをしながらいった。
こんなことがあって、ようやく山形警部は服にありついた。しかしそれは少女の服であった。その農家
このことばに、山形警部は、うむとうめいてかえすことばを知らなかった。
足柄警官は、娘にさんざん手をやいて――彼は山形警部が少女姿になったことを、いくど聞いても信じない。―
ありがたいです。氷室検事。あなたのほかにはだれもわしを山形警部だと思ってくれないのです」
山形の方は、検事がそういったのを、自分をみとめてくれたん
と、山形警部は、今これをしんじてもらわねばとうてい救われる時は来ないもの
声でしゃべっているのを聞いていると、どこかに山形警部らしい話しかたのひびきもある。また、この娘のいっていることがらは
が変になった娘と思われていた少女姿の山形警部が、いろいろと研究所内の事情について、よい参考になることを
(なぜこの娘に山形警部のたましいがのりうつっているのか分からんが……)と警官たちの
(しかしとにかく、今しゃべっているのは山形警部のたましいにちがいない)
を着た娘の発言は重視され、そして彼女はだんだん山形警部としてのあつかいをうけるようになった。
会議が終ると、女体の山形警部は、食事をとってそのあと、ねむいねむいといって、寝床をとっ
されないままなのだ。それが分からない以上、なぜ山形警部のたましいが、あの少女にのりうつったのか、それは解けない謎だっ
だ。なにしろ、山形警部は依然として行方不明である。山形警部の肉体は今どこにどうしているのか、それが今も発見
はっきりした証拠は、どこにもないのだ。なにしろ、山形警部は依然として行方不明である。山形警部の肉体は今どこにどう
五少年も加わっていたし、それからまた、女体の山形警部も、警官に取りまかれて厳重に保護されながら、ついてきて
それから先の案内は、女体の山形警部にまさる者はなかった。
たら、ただちにとりおさえる手はずになっていた。が、女体の山形警部はわるびれず、奥へすすんだ。そして秘密の出入り口を教えた。
ものと予想された。というのは、最地階から山形警部が出てくるときには、この秘密の出入り口の鍵は内がわに
女体の山形警部が、いよいよどんづまりの場所へ来たことを手まねでしらせた。そして
がつかつかと出ていった。もちろんこの少女は、例の山形警部だった。
山形警部の電臓を持った少女は、そういって博士に訴えた。
娘姿の山形警部は、泣いて谷博士に訴えた。
山形警部は、博士にすがりついて、いよいよ気が変になったようになって
これだけの口約束が、山形警部をたいへん喜ばせた。彼はもとのからだに戻る希望を持てる身に
それよりもまず、一刻も早く、外部に連絡をとろう。山形君、短波放送で、警察に連絡をしてくれたまえ」
号によって、娘のからだの中へとじこめられた、山形警部が、あの地下室へあらわれた、怪機械人間の正体だったのである
山形――といえば、どこかで聞いたような名ではないか。
なにせ者、X号が化けていたことがわかった。山形警部は、戸山少年たち五名と協力し、ほんものの谷博士を救いだして
「山形君、大急ぎで地階へおりてくれたまえ。そして発電装置を破壊するん
でも使われたら、こちらには防ぐ方法がない。早く山形君が、発電装置をこわしてくれないかぎり、戦いはこちらの負けだよ
博士のことばは悲壮であった。ところが、たのみに思う山形警部の機械人間は、悄然として、エレベーターからふたたび姿をあらわしたの
「山形君、どうしたんだね」
山形警部は、いまにも泣きだしそうな声であった。
山形警部はついに泣き声になってしまった。
、やって来るのを二の足ふんでいたんです。しかし山形君は、えらい手柄を立てました。これで私も、鼻が高いと
功名心に燃えている武装警官隊は、山形警部一人だけに手柄をされてなるものか、署長が臆病風にとりつか
「ばか。命令だから引っかえせ。たった今、山形警部から、短波放送で連絡があった。あと十分もすれば、原子爆弾
署長は、谷博士、山形警部それから勇敢な五少年の死をいたんで、思わずお念仏
ところが、谷博士も、山形警部も、五人の少年も、けっしてこの爆発で最期をとげたわけで
、三階建てのホテルぐらいは十分ある大きさだったから、山形警部や少年たちは、大分まごついたが、博士は道に迷いもせず
少年はともかく、博士はサルのからだのままだったし、山形警部は女のからだのままだったが――
山形警部は、あぶら汗を流しながら、自分のからだを背負って、えっちらおっちら歩きだした
目をとじた時である。操縦室の扉をひらいて、山形警部がとびこんで来た。
この紙きれにうなずいて、山形警部は、五人の少年といっしょに操縦室を出た。火焔放射器を
光景が、テレビジョンのスクリーンにうつしだされた時、少年たちも山形警部も、おどろいた。
山形警部も、少年たちも、恐ろしさにがたがたと震えていた。
山形警部は、そっと少年たちの耳にささやいた。
山形警部は、ほんとうにおどろいたようにあわてて見せたのである。
山形警部は、出口の方へかけもどろうとした。
じつは山形警部は、博士に急を知らせにかけるつもりだったが、そういえない
山形警部と五人の少年は、喜んでこの部屋へかえって来た。そしてX
で命令をくだした。一機のロケット砲室では、山形警部が一心不乱に、目の前のスクリーンをのぞいている。その上に
受けたのだが、X号の恐ろしい計画について、山形警部がいちいち証言をおこなったので、かえって博士たちの努力が認められ、
回復した時、博士の第一にした仕事は、山形警部をもとのからだにかえしてやったことだったのは、いうまでも
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すすめもあって、博士は東京へ行くことになった。東京へいって、入院をして、目と神経とをなおすことになった
、かけつけた博士の友人たちのすすめもあって、博士は東京へ行くことになった。東京へいって、入院をして、目と
「わしの東京行きは、ぜったい秘密にしてくれたまえ。そうでないと、わしは
場所であるうえに、すぐれた物理療法の機械があって、東京において、もっとも進歩した病院の一つであった。
こうして博士は、東京の西郊にある柿ガ岡病院にはいった。ここは多摩川に近い丘
って、もしそんなことがあったら、大評判になるから、東京へもすぐ知れるよ」
「たいへんです。大事件なんですから。東京の警視庁へ電話をかけてください」
、そこをあきらめて、またふもとの方へ走った。そして東京への電話の通ずる家を探したが、なかなか思うようにいかなかった。
怪しい工場をつくっていることを、五人の少年たちが東京の検察庁へ知らせたので、警官隊がここへ乗りこんできたわけ
今日、その試験飛行にとびたつばかりで、第一の原子爆弾を東京に落とそうと、その中につみこんであったのだった。