ある宇宙塵の秘密 / 海野十三
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なにしろ教授になったんじゃないか。これで亡くなられた渋谷先生の霊も、もって瞑すべしだ。……)
やっぱり、今日の教授昇格が自分の心を苦しめるのだ。渋谷先生が三年前に亡くなられて、テレビジョン講座に空席が出来たればこそ
られないほど多いが、宇宙塵に化した人間はただひとり、渋谷博士が数えられるだけである。
それというのも、恩師渋谷博士が当り前の亡くなりかたをされたのであったら、そうも思わない
渋谷博士は当時、優秀な航空テレビジョン機の発明を完成されていた。
自然爆発によるものではないかともいわれた。渋谷先生でもこられたならば、なにか適切な善後手段を訊くことが
ている小さい黒板の上の字を読んだ。それはいつも渋谷先生が翌日の仕事を、早く出てくる私に命令されるために書きつけ
「なんだ、いまごろになって気がつくなんて」と渋谷博士の眼と声は笑った。「シュミット会社には気の毒だが、こう
、私の手許にのこっている第二号機からロケット内の渋谷博士にインタービュウし、空前の探検譚と処女航路の風景とを手に
も受影装置が働きだした。全世界の目は、渋谷博士の運転するロケットの上に集まっていた。
なってしまったことであった。しかも奇妙なことに、渋谷博士からの応答によれば、ロケットの機械を検査してみたがいっこう
動きだしました。万歳、万歳。しかしどうしたものか渋谷博士の姿は見えません。しきりに信号を送っておりますが、まったく
サール博士は語る」と外国電話が入ってきた。「渋谷博士の最大の犠牲がロケットをふたたび推進させた。博士はおそらく機内に
。世界じゅうの人類は寝ることも食べることも忘れて、渋谷式の受影機の前に並び、この前代未聞の見世物にながめいった。
であった。しかし現代の幽霊船は生きていた。いよいよ渋谷博士愛機の視野には火星の姿が映ってきた。有名な運河帯
か。それは、いまもって、かの宇宙塵と化し終った渋谷博士の行方とともに、解きえない謎である。……
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で、そのときにシュミット博士は地勢上、いちばん都合のよい東京から火星旅行に出発しようというので持ってきたものであった。
当時ドイツからシュミット会社のロケット機「赤鬼号」が東京に着いて、研究所に安置されてあった。これは次の年の八月
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しかし宇宙は銀座通りのように華やかではなく人々はようやくロケット「赤鬼号」からの報道