火葬国風景 / 海野十三
地名一覧
四谷
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のだ。見たまえ、ここはすこし淋しいが、たしかに四谷の通りだよ。僕は生きていることを認めて貰えるなら首を横に
丸の内
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た。そのころ二人とも勤め先が決っていて、八十助は丸の内の保険会社に、鼠谷の方は築地の或る化粧品会社へ通勤することになって
新宿
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だった。苦しまぎれに、彼はいつもの手で、フラリと新宿の夜店街へ彷徨いいでた。いつだったか彼はその夜店街で、
それは確かに新宿裏にある酒場で、名前もギロチンという店だったが、その辺の
一宮大将といえば、あの新宿の夜店街で、飾窓の中に黒枠づきでもって、その永眠を惜しま
「そうだ。君は覚えているだろう。新宿の酒場で飲んでいたときフラフラと倒れたことを。あれは僕が
銀座
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二人が勤め先を退けるが早いか、距離から云ってほぼ等しい銀座裏のジニアという喫茶店で落合い、そこで紅茶を啜りながら積もる話を交わす
東京
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が生きているというニュースだった。しかも彼は、同じ東京の屋根の下に、同じ空気を吸って生きていたのである。
「僕は断る。僕はやっぱり東京へ帰るよ」
「なに東京へ帰る。……あの露子さんに逢いたくないのかい」
も無い幸福に酔おうとは思わないよ。あのゴミゴミした東京で、妻を失ったやもめの小説家としてゴロゴロしているのが性