大阪 雷門 丸の内 鹿島灘 マニラ 浜松 北海道 下田 足柄 東京地方 伊勢 浙江省 駿河台 アラスカ半島 シカゴ 赤坂 淀橋 荏原 四谷 松戸 芝浦 房総半島 東京市 市川町 サンタバーバラ 東北地方 霧島 愛宕山 霞ヶ浦 愛宕神社 セントルイス 本所 両国 甲府 仙台 静岡 下谷 前橋 金沢 宇都宮 千葉 水戸 深川 品川区 新宿 浅草 東京 品川 日本橋 神保町 神田 銀座 お茶の水 水道橋 隅田川 東京湾

、而して此後の行動は、数日後を期して、大阪若は東京方面を襲撃せんとするものと信ぜらる。因に、該主力

台及び空中給油機六台より編成せられ、根拠地西湖と大阪との距離は千五百キロ、東京との距離は二千キロである。終り」

弦三は、雷門の地下道に蟠る不穏な群衆のことを、この須田町の秩序正しい青年団に対比し

に於て、この機会に世に出たのである。雷門を中心とし、下谷、浅草、本所、深川の方面では、同志が三万

「いよいよ来るねッ」丸の内の会社から退けて、郊外中野へ帰ってゆく若い勤人が、一緒に高声

、詳しく述べることを憚るが、大体のことを云うと、丸の内に近い某区域にあって、地下百メートルの探さにあった。この地下街に

行った。爆撃手は、照準鏡のクロス・ヘアーに、丸の内の中心部が、静かに動いてくるのを待った。

丁度、その途端に、照準は、ピタリと、丸の内の中心に落ちた。

早ければ今夕、遅くとも明日の夕刻までには、敵影が鹿島灘に現れることになろうと云うことであった。これは全国一斉に、ラジオに

さて問題の、鹿島灘の、一番北の端に、磯節で有名な三磯の一つ、磯崎町

やらなけりゃならんことになりました哩。この磯崎は、鹿島灘の一番北の端を占め、しかも町全体が、ズーッと海の真中へ突き出て

と扱いて、目を閉じた。「第一師団は、マニラの北方二百キロのリンガイエン湾に敵前上陸し、三日目にはマニラを

キロのリンガイエン湾に敵前上陸し、三日目にはマニラを去る六十キロのバコロ附近まで進出したのじゃったが、そこで勝手の

浜松の飛行聯隊が、折柄のどんより曇った銀鼠色の太平洋上に飛び出していった

の飛行機は静岡辺まで、やって来たらしいんだ。浜松の飛行隊で、追駈け廻しているけれど、敵の奴を巧く喰止ること

浜松の戦闘機隊は、どうしたであろうか。

「次に、アラスカ飛行聯隊は、午後十時、北海道、根室湾を、占領した。聯隊は、更に、津軽海峡を征服し、青森県大湊

思われていたのであるが、いま斯うして、北海道と、青森県の、ほぼ中間を覘って、大挙襲来しているのを知って

帝都へ送って空襲をさせ、或いはアクロン号の夜襲、北海道、青森県の占拠まで、可也の犠牲をかけて、日本艦隊の釣出しを試み

位置は、本日の唯今、北緯四十二度、東経百六十五度。北海道の真東、千八百キロというところだ」

「ああ、下田のおばさんの家だったネ」波二と呼ばれた少年は、鳥渡顔

噸巡洋艦隊は、その快速を利用し、那智、羽黒、足柄、高雄以下の一万噸巡洋艦隊と、並行の単縦陣型を作って、刻々

その隙を目懸けて、摩耶を司令艦とする高雄、足柄、羽黒などの一万噸巡洋艦は、グングン接近して行った。的と覘う

「東京及び東京地方に居住する帝国臣民諸君」将軍の声は泰山の如くに落付いていた

。「発声者は東京警備参謀塩原大尉。唯今より以降、東京地方一円は、警戒管制を実施すべし。東京警備司令官陸軍大将別府九州造。

筋からの命令が参りましたから、お伝えします。東京地方は、警戒解除を命ず。東京警備司令官、別府九州造。繰り返して読みます、

、我が艦隊の誇るべき主力、旗艦陸奥以下長門、日向、伊勢、山城、扶桑が、千七百噸級の駆逐艦八隻と航空母艦加賀、赤城と

四飛行聯隊の主力は、オロンガボオ軍港を脱出し、中華民国浙江省西湖に集結せるものの如く、而して此後の行動は、数日後を

すると旦那は、お医者さまかネ」印袢纏は、駿河台に病院の多いのを思い出したのだった。

その駿河台の、ややお茶の水寄りの一角に、「戸波研究所」と青銅製の門標のかかっ

の暗がりの中で知合いになり、助け助けられつつ、この駿河台の研究所まで辿りついたのが縁で、唯今では、鍛冶屋の山さん、変じ

来た二千台の大空軍はどうなったでしょうか。又アラスカ半島から襲来して参りました大飛行船隊はどうなったでございましょうか。それ

シカゴ、ルイズヴィル、ハウストン、イリノイ、フェニックスの砲口は、次の射撃に備えるために

ように、どーンと又一つ、火柱が立った。赤坂の方らしい。

「淀橋の、兄さんのところへ、マスクを持ってゆくんです」

させて、その上に、太い指を動かした。「淀橋区、四谷区は、大半焼け尽しました。品川区、荏原区は、目下延焼

淀橋区、四谷区は、大半焼け尽しました。品川区、荏原区は、目下延焼中であります。下町方面は、むしろ、小康状態に入り

、その上に、太い指を動かした。「淀橋区、四谷区は、大半焼け尽しました。品川区、荏原区は、目下延焼中であり

「松戸の工兵学校は、もう仕事を終えている頃ですから、直ぐ応援して貰っ

出来、その附近の音響を聞き分ける仕掛けがあった。例えば、芝浦の埋立地に、鉄筋コンクリートで出来た背の高い煙突があったが、そこ

のこと、お天気のよい日には肉眼ででも、房総半島がハッキリ見えた。「五分間十銭」の木札をぶらさげた貸し望遠鏡には

筈であった。百噸を一度に投下するときは、房総半島なんか、千切れて飛んでしまいそうに、思われた。

百メートルの探さにあった。この地下街に入るには、東京市内で六ヶ所の坑道入口が設けられてあった。いずれも、偽装をこらし

は帝都を、二十キロほど、東へ行ったところにある市川町の附近を択んで、軍部が急造した偽都市だったのであった。

号、いや、こいつは、間違った――ロスアンゼルス、バタビウス、サンタバーバラの飛行船隊と合することによりて、絶頂に達することじゃろう。この空軍だけで

其のあとについて、品川駅を通過してゆく東北地方の出征軍隊の乗った列車は一々数えきれなかった。夜間ばかりでは運搬し

と見え、真昼間にも陸続として下って行った。東北地方の兵営が、空になるのではないかと、心配になるほどあとから

その背後には、摩耶、霧島、榛名、比叡が竜城、鳳翔の両航空母艦を従え、これまた全速力で押し出し

ＪＯＡＫのある愛宕山は、東京の中心、丸の内を、僅かに南に寄ったところに在った。それ

切って、ソッと東京市の上に置いたような此の愛宕山の頂きは平らかで、公園ベンチがあちこちに並び、そこからは、東京全市はもちろん

愛宕山の山顛には、闇がいよいよ濃くなって来た。月のない空には、三

と愛宕山の大サイレンが鳴り出した。雄壮というよりも、悲壮な音響だった。

愛宕山の上では、暗黒の中に、高射砲が鳴りつづいていた。照空灯が、

ゆらゆらと、愛宕山が揺いだ。

愛宕山の上では、暴徒の指導者、鬼川が、一人で恐悦がっていた。

予期した霞ヶ浦の海軍航空隊に属する空軍は、どうしたものか、どの方面からも、襲撃

着手することができた。所沢と立川との飛行聯隊、霞ヶ浦と追浜の海軍航空隊、それから東京愛国防空隊の二十機は、一斉に飛行場

ゆくと、ザッと百段目ぐらいを数える頃、山頂の愛宕神社の前に着くのだった。毬栗を半分に切って、ソッと東京市の上

陣容を報告すべし。先ずメリーランド、コロラド、ウェスト・バージニア、セントルイス、ソルトレーキ以下二十隻の主力艦を中心に、その前方に、大航空母艦レキシントン

たのである。雷門を中心とし、下谷、浅草、本所、深川の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たちも、加盟

兼ねて租界管理に関し、日○両国間に協議を開いて居りましたが、我が滝本総領事は、常に正々堂々の論陣を

も非常に怒り、復讐を誓って、唯今準備中であります。両国の外交問題は、俄然険悪となりました。以上。

その外交戦の直ぐ裏では、日米両国の戦備が、驚くべき速度と量と形とに於て、進められて行った。鉄工場には

両国の大使館員は、駐在国の首都を退京した。

「英、仏両国は中立を宣言す」

。新宿が近いのですが、よくありませんね。寧ろ甲府方面へ出ます。この鼻緒商売も、不景気知らずの昔とは、大分

その煙突の頂上には、鉄筋コンクリートの中に隠れて、仙台放送局の円本博士が発明したＭ式マイクロフォンが麒麟のような聴覚をもち

。就中、右翼竜山師団は一時苦戦に陥りたるも、左翼仙台師団の急遽救援砲撃により、危機を脱することを得たり。終り」

有馬参謀長は、もう一枚の紙を、とりあげた。「仙台、姫路、竜山各師団よりなる極東軍主力は、国境附近の労農軍を

「いよいよアメリカの飛行機は静岡辺まで、やって来たらしいんだ。浜松の飛行隊で、追駈け

に世に出たのである。雷門を中心とし、下谷、浅草、本所、深川の方面では、同志が三万人から出来た。

のに骨が折れた。市川とか、桐生とか、前橋とかいう小さい町までもが、苦しい町費をさいて、一と通りは、

は、本物の別府司令官の前に、直立した。「金沢、字都宮、弘前の各師団より成る北満軍主力は、本日午後四

儂の考えでは、今夜が最も危険じゃ。もう一度、宇都宮以北の防空監視哨へ、警告を発して置け」

暗闇の千葉街道を、驀地に、疾走しているのは、世田ヶ谷の自動車大隊だった

「工兵学校も、いいが、俺は、千葉鉄道聯隊の連中を、あてにしているのだ」

あった。その市川の草原には、松戸工兵学校や、千葉鉄道聯隊や、世田ヶ谷自動車隊が、一夜のうちに急造した電灯装置ばかり

「もう水戸が見える筈だ」そう云ったのは、賊を追って、お茶の水の濠

である。雷門を中心とし、下谷、浅草、本所、深川の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たちも、加盟し

。「淀橋区、四谷区は、大半焼け尽しました。品川区、荏原区は、目下延焼中であります。下町方面は、むしろ、小康

「駄目ですね。新宿が近いのですが、よくありませんね。寧ろ甲府方面へ出ます。

は、思う仔細があって、東京一の盛り場と云われる新宿を、すこし郊外に行ったところに店を作っていたのだった。

新宿まで、この地下鉄で行けると思ったことも、誤りだった。須田町までくる

弦三は、一つ自動車を呼びとめて、新宿の向うまで、走らせようと考えた。弦三は、二十一になる唯今まで

「やっと、新宿だッ」

何万人という群が、あの広い新宿の大通にギッシリ填って、押しあい、へしあい、洪水の如く、流れ出てゆくの

二人が、押問答をしているとき、新宿の大通りでは、突如として、修羅の巷が、演出された

人という人間が、踏み越えていった。瞬く間に、新宿の大通には、千四五百名の死骸が転った。その死骸

の研究家だった弦三が、自作のマスクを背負って、新宿附近に住む長兄黄一郎親子に届けるために、花川戸を出たのは、

郊外の鍛冶屋さんで、この二人は、帝都爆撃の夜、新宿の暗がりの中で知合いになり、助け助けられつつ、この駿河台の研究所まで

大旦那長造の誕生日であるから、店を頼んで、浅草へ出て来たのだった。

て、表通に鼻緒問屋の多いのを指摘した。この浅草の大河端の一角を占める花川戸は、古くから下駄の鼻緒と爪革の手工業を

矢張り、光の世界と称ばれている東京は下町の、浅草区だったという。

、母の慈愛をもって、幼時から信仰を捧げている浅草の観世音の前に、毎朝毎夕ひそかに額き、おのれの寿命を縮めて

と入って来た人影があった。それは、古くから浅草郵便局の集配人をやっている川瀬郵吉だった。

に出たのである。雷門を中心とし、下谷、浅草、本所、深川の方面では、同志が三万人から出来た。貴方たち

「機首を左へ曲げ、隅田川に沿って、本所浅草の上空へやれ。高度は、もっと下げられぬか」そう云ったのは

「浅草の上空です」浅川曹長が、伝声管から注意した。

「うん、浅川曹長。お前の家は、浅草にあると云ったな」中佐が、不図気がついて云った。

「そうですわ。そこへ、紅子さんという、浅草の不良モガが、一人でやって来たのよ。狼は、紅子さん

いた。長男の黄一郎は、思う仔細があって、東京一の盛り場と云われる新宿を、すこし郊外に行ったところに店を作っ

を以て、日本全国に知られていた。殊に、東京好みの粋な鼻緒は断然この花川戸でできるものに限られていた。

になるとこの瓦斯マスクが、是非必要になるんです。東京市なんか、敵国の爆撃機が飛んできて、たった五噸の爆弾を墜せ

それは申訳に過ぎないようだった。「だが、この東京市に敵国の飛行機なんて、飛んで来やしないよ。心配しなさんな

「そんなことありませんよ。東京市位、空中襲撃をしやすいところは無いんですよ。僕は雑誌で

きて、日本の軍人は強いぞ、天子様のいらっしゃるこの東京へなんぞ、一歩だって敵の飛行機を近付けるものか。お前なんぞ、知るまい

」弦三は恨めしそうに兄を見上げた。「いまに東京が空襲されたら大騒ぎになるから、市民いや日本国民のために、

。だがそれは無論、表面だけのことであった。東京と、華府との二ヶ所では、政府当局と相手国の全権大使と

は通行の女人達が、不熱心なわけでは無く、東京に属する師団の動員が、余りに速かったのである。

東京の街角には、たった一日の間に、千本針の腹巻を通行の

東京市民は、血走った眼を、宣戦布告の号外の上に、幾度となく

東京市民は、我が軍に関するニュースの少いのに不満であった、それは

どこからともなく、流言が伝わり出した。東京市民の顔には不安の色が、次第にありありと現われて来た。

程、絶頂にのぼりつめたと思われた其の日の夜、東京では、ＪＯＡＫから、実に意外な臨時ニュースの放送があった。

十銭」の木札をぶらさげた貸し望遠鏡には、いつもなら東京見物の衆が、おかしな腰付で噛りついていた筈だった。

は平らかで、公園ベンチがあちこちに並び、そこからは、東京全市はもちろんのこと、お天気のよい日には肉眼ででも、房総

前に着くのだった。毬栗を半分に切って、ソッと東京市の上に置いたような此の愛宕山の頂きは平らかで、公園ベンチ

ＪＯＡＫのある愛宕山は、東京の中心、丸の内を、僅かに南に寄ったところに在った。それは

で、あしからず御承知を願います。それでは唯今より、東京警備司令官別府大将の布告がございます」

ため、陸軍省令第五七〇九号によりましてこの時間から、東京警備司令部の手に移ることとなりました。随って既に発表しました

せよ。右布告す。昭和十×年五月十日。東京警備司令官陸軍大将別府九州造」

区域は国外に限定を許されず、吾が植民地は勿論、東京大阪等の内地まで、戦闘区域とするの已むなきに立至った。これは

声は泰山の如くに落付いていた。「本職は東京警備司令官の職権をもって広く諸君に一言せんとするものである。

「東京及び東京地方に居住する帝国臣民諸君」将軍の声は泰山の如くに落付いて

「東京及び東京地方に居住する帝国臣民諸君」将軍の声は泰山の如くに落

アナウンサーは、幾分上り気味だった。「次は塩原参謀より東京警報があります」

「東京警備一般警報第一号、発声者は東京警備参謀塩原大尉！」キビキビした参謀の声が聴えた。

「東京警備一般警報第一号、発声者は東京警備参謀塩原大尉！」キビキビし

編成せられ、根拠地西湖と大阪との距離は千五百キロ、東京との距離は二千キロである。終り」

後の行動は、数日後を期して、大阪若は東京方面を襲撃せんとするものと信ぜらる。因に、該主力は、

強いて振った。「敵機が爆弾を落として見ろ、この東京なんざ、震災当時のような混乱に陥ることは請合いだよ。流言は今

以降、東京地方一円は、警戒管制を実施すべし。東京警備司令官陸軍大将別府九州造。終り」

。「発声者は東京警備参謀塩原大尉。唯今より以降、東京地方一円は、警戒管制を実施すべし。東京警備司令官陸軍大将別府九州

」先刻ほどの将校の声がした。「発声者は東京警備参謀塩原大尉。唯今より以降、東京地方一円は、警戒管制を実施

「東京警備一般警報第二号！」先刻ほどの将校の声がした。「

おお、これは此の前に東京全市で行われたあの防空演習ではないのだ。この警戒管制には

られたのは、矢張り、光の世界と称ばれている東京は下町の、浅草区だったという。

、街の明るい電灯を見ると、ははァ此の下が東京市だなと知るでしょう。そこで爆弾をボンボンおっことすから、大変なことに

のだった。「警戒管制てのは、敵の飛行機が東京の上空にやって来て、街の明るい電灯を見ると、ははァ此

ないであろうと思われた。――この地下街こそは、東京警備司令部が、日米開戦と共に、引移った本拠だった。

どう匍いまわっているのであるか、仮りに物識りを誇る東京市民の一人を、そこに連れこんだとしても、決して言いあてることは出来

百メートルの探さにあった。この地下街に入るには、東京市内で六ヶ所の坑道入口が設けられてあった。いずれも、偽装

、附近の人は知っていた。その煙突こそは、東京警備司令部の眼であり、耳であったのだった。すなわち、その煙突

さらに驚くべきは、この地下街にいながらにして、東京附近の重要なる三十ヶ所に於ける展望が出来、その附近の音響を聞き分ける

東京警備司令部内は、眼に見えて、緊張の度を高めていった。

丁度そのころ、大東京ははしかにでも罹ったように、あちらでも、こちらでも、騒然

、大変だわネ。ンじゃ、今夜のうちにも、東京へ飛んでくるかい」

秋、交換手をしている娘の案内で見に行った東京中央電話局の建物を思いうかべていた。「ひょっとすると、忙しいのかも

の距離は最早二百キロメートルに短縮せられましたので、東京警備司令部では、いよいよ『空襲警報』を出す模様であります。空襲警報

長の四万中尉は、兵員の間に交って、いつもは東京全市に正午の時刻を報せる大サイレンの真下に立っていた。

東京市内の電灯という電灯は、パッと消えて、全市は暗黒に

東京市民が、醵金をし合って献納した十五機から成る東京愛国飛行隊は、どうしているであろうか。

東京市民が、醵金をし合って献納した十五機から成る東京愛国飛行隊は

です」弦三は嬉しそうに呟いた。「僕は、東京市民の防毒設備に、サッパリ安心が出来ないのです。行かせて下さい。

この大群衆は、東京を逃げだしてゆく市民たちだった。爆弾と、毒瓦斯と、火災とに

アメリカの飛行機が、攻めて来たかは知らねえが、東京の人間たちのこの慌て加減は、どうです。震災のときにも、ちょいと

果たすために、飯坂上等兵と姥子一等兵を選抜して、東京警備司令部へ、火急の報告に出発させた。少尉が、腹部を射ち

「東京市民は、愚図愚図していると、毒瓦斯で、全滅するぞ。兵営に

、お伝えします。東京地方は、警戒解除を命ず。東京警備司令官、別府九州造。繰り返して読みます、エエと――」

筋からの命令が参りましたから、お伝えします。東京地方は、警戒解除を命ず。東京警備司令官、別府九州造。繰り返して読み

一杯、かつがれてしまったじゃないか。これで、大東京の輪廓が、はっきり浮び上るのだ。米国空軍の目標は、これで充分だ

どおりの効目がなく、いや反って逆の結果となり、東京市民を恐怖のドン底へ追いやる代りに、ラジオと光とは、市民たちの

「はいッ」参謀は、大東京区域図をバリバリ音させて、その上に、太い指を動かした。

に、空襲によって風貌を一変した重病者「大東京」のむごたらしい姿が、曝露しようとしている。白光の下に、その

一と通りは、防空演習をやっているのに、大東京という帝都が、纏った防空演習を、唯の一度もやっていなかっ

演習にしても、遺憾な点が多かったですね。東京の小さい区だけの、防空演習だって、なかなか、やるというところまで漕ぎつける

ているところが、少くはなかったが、中には、東京人特有の度胸太さで、半ば犠牲的に、避難民のために、便宜

、真弓。これから、故郷へ帰ったら、二三年は、東京へ顔を出しちゃ、危いぞ」

記憶のよい読者は、彼が、いつの間にか、東京警備司令部の地下街に忍びこんでいたことや、今朝方のこと、お茶の水附近で

いるらしい話であったが、彼こそは、先に、東京警備司令官別府九州造に変装してマニラ飛行聯隊空襲の夜の、帝都警備

「だって、青森県て、東京の地続きでしょう。アメリカの兵隊の足音が、響いてくるようだわ」

「莫迦だなア、君は。アクロン号は、東京の方へ、頭を向けているのだよ」

「じゃ、また東京は、空襲を受けるの」

「だから、東京市民は注意をしろ、とサ」

「大佐殿、いよいよ、大東京です」少佐は、地上観測鏡の対眼レンズから、眼を離そうとも

「ですが、船長。大東京の輪廓が、すこし、明るすぎるように思いますが……」

「航空長、大東京への、距離は？」

「大東京が、灯火を、消したんです」

「いよいよ、大東京の位置が、はっきり判りました。こっちに、ムラヤマ貯水池が、明るく光って

隊が、一夜のうちに急造した電灯装置ばかりの偽東京が、影も形もないほど、爆撃しつくされてあった。

大きな錯覚をしていたのだった。それは、大東京だと思って、爆弾の雨を降らせた一廓は、帝都とは似

至当であると面白いことを云ったのは、外ならぬ東京警備司令官、別府九州造氏であった。

「東京警備司令部付、帆村荘六氏へ、次のことを、至急電報して

と思ったので、紅子の頼みどおり、一時も早く、東京の帆村へ知らせてやらなくてはなるまいと思った。

は手短かに、一部始終を兄に話し、紅子の手紙を東京へ電報することを相談した。

を架設して来たばかりだ。あれで話せば、直ぐ東京が出る」

「丁度いま、磯崎の防空監視哨と東京の中央電話局との直通電話を架設して来たばかりだ。あれで話せ

、あすこから電話線を伝って行ったもう一つの端の東京には、三吉みたいな可愛いい子供さんが何十万人と居て、同じよう

真弓、もう時間もないことだ。さァ急いでお前は、東京へ電話をかけるんだ。僕は町長さんのところへ行って、お父さんと

、早く見付けて、伯父さんの拵えたこの電話機でネ、東京に住んでいる人と話をしたいの」

「さっき僕と話をした東京の人は、お姉ちゃんだったよ」

立川との飛行聯隊、霞ヶ浦と追浜の海軍航空隊、それから東京愛国防空隊の二十機は、一斉に飛行場から空高く舞い上った。

は、市民の思っている以上に切迫していた。品川駅頭を出発して東海道を下っていった出征兵員一行の消息は、いつ

丁度その時刻、帝都防護飛行隊が巡邏している筈の品川上空を注視したが、その方向には、いたずらに霧とも煙とも

いる連中にも、それと判らなかった。唯一つ、日本橋の某百貨店のエレベーター坑道の底部に開いているものは、エレベーター故障事件に

である危険を侵し、避難の市民群とは反対に、神保町から、九段を目がけて、駈け出していった。

だが、神保町を、駈けぬけきらぬうちに、弦三は運わるく、近所に落ちた爆弾

「神田の駿河台だよ」

の方へ、下って行った。そこは、学生の多い神田の、目貫の場所であって、書店や、ミルクホールや、喫茶店や、

です。正午近くになって、わたくし達の、偵察機が、神田上空を通るとき、運よく、帆村君の、反射鏡信号を、発見し

という若い女だった。記憶のよい読者は、彼女が神田のキャバレ・イーグルで、そこがＧ・Ｐ・Ｕの秘密会合所と知ら

一夜のうちに、さしも豪華を誇っていたモダーン銀座の高層建築物は、跡かたもなく姿を消し、そのあとには、赭茶け

「御覧なさい、中佐殿。お茶の水の濠の中から、何か、キラキラ閃いているものがあります」

、ピカ。それを繰返している。それは聖橋と、お茶の水との中間にあたる絶壁の、草叢の中からだった。

その駿河台の、ややお茶の水寄りの一角に、「戸波研究所」と青銅製の門標のかかった大きな建物

司令部の地下街に忍びこんでいたことや、今朝方のこと、お茶の水附近で、湯河原中佐や塩原参謀の乗っていた偵察機に、赤外線写真

「ははァ、よく判りますね」と、帆村探偵はお茶の水に近い濠端の、ある地点を指して、云った。「肉眼で見た

麻布第三聯隊の一個小隊を指導して、直ちに、お茶の水へ出発せい」

「はいッ。草津大尉は、直ちに、お茶の水の濠端より、不逞団の坑道を襲撃いたします。終り」

見える筈だ」そう云ったのは、賊を追って、お茶の水の濠傍から、戸波研究所の地下道を突撃して行ったことで顔馴染

、赤外線写真撮影を頼む。撮影範囲は、聖橋より水道橋に至る外濠沿岸一帯。行動に注意あれ。Ｍ13）

「機首を左へ曲げ、隅田川に沿って、本所浅草の上空へやれ。高度は、もっと下げられぬか

「隅田川へ敷くのについて、非常に幸運だったというのは、今夜十二

、米国艦隊が飽くまで南西の進路を固執し、一挙鹿島灘から東京湾を突こうというのに対し、我が日本艦隊は真南から襲い懸って、一