地球盗難 / 海野十三
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ような気がするものだそうだ。霧の深い朝、アルプスの山にのぼると、谷の向うに雲を衝くような巨人が出るという
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「イヤ何でもないことだよ。……只ネス湖の怪物がネ」
が、この世に不思議なことは沢山あるんだよ。とにかくネス湖の怪物の話は本当だよ。なぜって大隅先生はその記事や絵が載って
ことになるネ。近ければ近いほど、大きくみえる。だからネス湖の怪物というのも、その正体は案外近くの水面に浮いていた流木か
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大隅理学士というのは東京の工業学校の理科の先生で、よく通俗記事などを新聞や雑誌に書い
無駄には見えぬ仕事をしたとすれば、それは東京に在る中央気象台の中屋技師に宛てて長文の電報を発するよう、下宿の
。もちろんすっかり水に濡れていたが、裏には「東京一ツ橋、中央気象台、中屋技師発」とあり、表をひっくりかえすと、「大隅
「まだある。佐々砲弾が忙しい東京の職場を離れてわざわざこんな土地に飛んで来たこと、それから大隅学士
の灯がうつっているのだろう。その顕著な光団は東京あたりか、それとも上海であろうか。
「イヤ突然だったけれどもネ、ちょっと東京へ出かけたんです。知らせる間もなくてどうも……」
「へえ、東京へ……」
「ああ、佐々君か。彼も一緒に東京へ行ったんだが、そのうち帰ってくるだろう」
か。君の手で合わなきゃ、土地の事情を知らぬ東京から医者を呼んでもいいが……」
村人に聞いてみると、一年中の温度変化が、東京あたりとまるで違った性質を持っている。しかも地形的に見ても不審
「いやあ、そのことですよ。貴方はご存じないでしょうが、東京は大騒ぎですよ。なにしろ佐々砲弾発で突然無線電話がかかってきたの
特に一台飛行機をお貸ししますから、これからすぐに東京へ飛んで天文台にいらっしゃい。あすこに素晴らしい送受信機が一組あるのです。
いる間もなく、搭乗機は三時間のちに天文台のある東京郊外三鷹村に無事着陸した。
「そんなことはない。佐々砲弾が東京の新聞に君の説を細大洩らさず連日の紙上に書いた。君は
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「ああ三鷹村の天文台ですか。じゃ僕を連れていって下さい」
もなく、搭乗機は三時間のちに天文台のある東京郊外三鷹村に無事着陸した。
から三日ほど経った後のこと、大隅学士のところへ三鷹村の天文台から至急報の電話がかかって来た。
は通りがかりの37年型の自動車を呼びとめると、すぐに近郊三鷹村へ急行してくれるように頼んだ、