本郷 伊豆 徳島市 北海道 四国 徳島 東京 渋谷 東京湾

つける気もなくなって、そのまま外に出た。池の端を本郷に抜ける静かなゆるい坂道を貞雄に助けられながらゆっくりゆっくり歩を搬んでゆく―

ネ。でもあたくしは存知ていますわ。あたくし達が伊豆へ行っている間にお作り遊ばしたんでしょう」

した末、その幼童が静枝という名を名乗って、徳島市の演芸会社の社長の養女に貰われていたところをつきとめて、それで

断られてしまったので、たいへん面喰らったこと、そのとき北海道の大学へ打合わせにゆく途中だったので、また帰り路に寄ればいいと思っ

「すると奥さまのお郷里は四国です。阿波の国は徳島というところに、安宅という小さな村があります

彼女は別に高ぶる様子もなく、妾の故郷だという四国の安宅村へ、三人の双生児の実相を確めるために発足するといって

四国の徳島へ出発した女流探偵速水春子女史は、越えて十日目に、

だネ。あれは今からザット十五六年も前、四国の徳島で買った子だったがネ。当時はなんでも八つだと

「すると奥さまのお郷里は四国です。阿波の国は徳島というところに、安宅という小さな村があります。そこならサワ蟹だ

四国の徳島へ出発した女流探偵速水春子女史は、越えて十日目に、たいへん

――速水女史が徳島の安宅村というところへのりこんできいてみると、妾の母の

。あれは今からザット十五六年も前、四国の徳島で買った子だったがネ。当時はなんでも八つだといっ

たが家出している女らしかった。父親というのは徳島の安宅村に住んでいるとか云ったが、その苗字は……」

「赤沢というと徳島の安宅の……」

「でも可笑しいわネ。女探偵の速水さんは、徳島へ行って、静枝という妹を探して来たのよ。安宅へ行っ

、真一と君とを生んだのに違いない。これは徳島に隠棲しているその時の産婆の平井お梅というのを探しだして聞きだし

流浪を始めたが、妾が十歳の秋に、この東京に滞在していたとき、とうとう卒中のために瞬間にコロリと死んで

遺産故に妾を世話する人もあって、こうして東京の地に大きくなることが出来たのであった。いま妾は至極気楽

に貰われていたところをつきとめて、それで無理やりに東京へひっぱって来たのである。向うでも永く離したがらないので、

とあって、隅の方に「東京府八丈島庁管下」と記してあった。するとこの紳士は赤沢貞雄と

あの新聞広告を出したその翌日から、妾の住んでいる渋谷羽沢の邸は俄かに賑かになった。それは新聞広告をみてから

彼の再訪を幾度も懇願した上、名残惜しくも貞雄を東京湾の埠頭まで送ったのであった。