丸の内 四谷 川崎 四国 横浜 大阪 鶴見 日比谷公園 東京 有楽町 銀座 亀戸

彼女はそこの邦文を四ヶ月で卒業すると、丸の内のあるドイツ人の経営してゐる合資会社へ這入つた。そこへ這入つてからまだ二

を家に入れることを拒んだ。彼女が訪ねて行つた四谷の伯母の如きは、玄関口で彼女に向つて食塩を撒いた程だつた

やがて車は川崎を過ぎると、国道を驀地に突き進んで行つた。すつかり寝静まつた両側の

眺めてゐたが、やがて風に流されるやうにとぼとぼと川崎の方に向つて歩き出した。雨に濡れることも、疲れてゐることも

に乗れば明朝は大阪に着く、すると明日の晩は四国へ着くわけだ。彼はびつくりしたやうに片手を挙げて車をとめ、

男だからな、しかし待てよ、俺はこれから本気に四国くんだりまで行く気なのかしら？　四国まで行つて、そして何があるのだら

はこれから本気に四国くんだりまで行く気なのかしら？　四国まで行つて、そして何があるのだらう。ばかばかしいぢやないか。――しかも

を一つ提げて、兄清作の依頼状を持つてはるばる四国から山田を頼つて出て来たのである。その頃、津波のやうに

八時か九時のつもりでゐたのであつた。横浜へ行つて、そしてどうするのか、しかしもうそんなことはどうでもよかつ

にその時浮んで来た。今夜汽車に乗れば明朝は大阪に着く、すると明日の晩は四国へ着くわけだ。彼はびつくりした

だらう、などとぼんやりと考へるのであつた。が、鶴見あたりまで来た時であつた、突然がたんと車が上下すると、二三間

もなくそれも嫌気がさして来て、今度はしぶしぶと日比谷公園の方へ向ひ始めた。日はもうすつかり暮れてしまつて、高架線

ですか。こちらはどうにか無事にをります。久々で東京へ出て来ましたのでお目にかゝれればと願つてをります

「東京はちつとも変つてゐない。」

「幾日くらゐ東京にゐるんだね。」

「ちよつとね、ここが東京でないやうな気がしたんだよ。」

「東京でないやうな？」

表情や、言葉つきなどが次々と浮んで来た。ここが東京でないやうな気がする、とぴよこんと立上つて言つた時の

と、銀座へでも出てみようといふ気になつて有楽町の方へ足を動かし出した。

た。彼はふらふらと流されるやうに駅を出ると、銀座へでも出てみようといふ気になつて有楽町の方へ足を動かし

にはゐられなかつた。彼は何時の間にか亀戸に這入り込んで、電車通りを踏み切ると、吾妻町の方へ向つて行つ