東大寺 大阪府 正倉院 奈良 長崎 東京

東大寺の本坊の廣間に、私は執事長Ｋ師と對坐してゐた。押し開か

あつた。これは一九二六年に於ける奈良縣か京都府か大阪府か知らないが有識階級の夫人たちである。

正倉院の曝凉は途中で雨が降りだすと追ひ出されて拜觀劵がそれきり無效

奈良二題

と陳列目録と寫生帳をポケットに押し込んで、定刻早めに奈良ホテルを出た。

無智な女たちであつた。これは一九二六年に於ける奈良縣か京都府か大阪府か知らないが有識階級の夫人たちである。

ながらも陳列はよく整理されてあつた。其處には奈良博物館に供託してある以外の舞樂面がまだ相當に所藏され

埋葬の佛事と、その背景としての佛法繁昌の奈良朝の盛時を想像することなしにそれを見ることはできなかつた。

それは一八八五年に於ける長崎の場末の無智な女たちであつた。これは一九二六年に於ける奈良

辨解から始まつて、――いつぞやはまたオクサマが東京からお歸りあそばした時には私の咀はしい持病が起りまして、