桂離宮 嵐山 松山 東京 目白

桂離宮の書院から庭に面して、折れまがりに小さい三つの部屋が、一ノ間・二

て向を見わたすと、昔は庭木の梢を越して遠く嵐山の櫻が眺められたさうだ。亭の名はそれから來たのである

音が合して、琴の音色にきこえたといふ。女松山の下の汀に立つて、澄み透つた池水の底の、灰色の泥

の庭木は皆伸び過ぎてゐる、と云はれて、女松山の女松の話をされた。それは書院から松琴亭の方へ池

そのことを、東京に歸つて謙齋先生に話したら、賞花亭だけではありませんよ

かぎりが、Ｗ家の所有地で、其處に、その頃東京の場末に殖えつつあつた小さい見すぼらしいマッチ箱みたいな人家を建てさせないため

ものが、ところどころ、草花の間にころがつてゐた。東京市内でありながら、どつちを見ても人家といふものが殆んど見えなか

まだ退轉しなかつた頃、或る日、誘はれてその目白の庭園を見に行つた。以前の居住者Ｔ伯爵が宮内大臣をして