岩石の間 / 島崎藤村
地名一覧
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赤坂という坂の町を下りようとする途中で、広岡学士も一緒に成った。
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浅間の麓に添うた傾斜の地勢は、あだかも人工で掘割られたように、小諸
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烏帽子山麓に寄った方から通って来る泉が、田中で汽車に乗るか、又は途次写生をしながら小諸まで歩くかして、
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はその鳴声で満ち溢れて来た。飛騨境の方にある日本アルプスの連山にはまだ遠く白雪を望んだが、高瀬は一つ場処に長く立っ
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やがて高瀬はこの家に学士を独り残して置いて、相生町の通りへ出た。彼が自分の家まで歩いて行く間には、幾
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だ石垣と桑畠との見える小高い耕地の上の方には大手門の残ったのが裏側から望まれた。先生はその高い瓦屋根を高瀬に指し
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懐古園の城門に近く、桑畠の石垣の側で、桜井先生は正木大尉に逢っ
高瀬と学士とは懐古園の方へ並んで歩いて行った。学士は弓を入れた袋や、
懐古園とした大きな額の掛った城門を入って、二人は青葉に埋れた
「鞠ちゃんは、先刻姉や(下婢)と一緒に懐古園へ遊びに行って来ました」
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一汽車待つ間、話して、お島の友達は長野の方へ乗って行った。その日は日曜だった。高瀬は浅黄の
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た傾斜の地勢は、あだかも人工で掘割られたように、小諸城址の附近で幾つかの深い谷を成している。谷の一つの
そう言われると、高瀬にも覚えがある。高瀬は一度小諸を通って先生の住居を訪ねたことがある。形は変えられたが
もある。荒廃した屋敷跡の間から、向うの方に小諸町の一部が望まれた。
はその高い瓦屋根を高瀬に指して見せた。初めて先生が小諸へ移って来た時は、その太い格子の嵌った窓と重い扉の
「高瀬さん、私も小諸の土に成りに来ましたよ」
「宅じゃこの通り朝顔狂ですから、小諸へ来るが早いか直ぐに庭中朝顔鉢にしちまいました――この
「もう私は士族は駄目だという論だ。小諸ですこし骨ッ柱のある奴は塾の正木ぐらいなものだ」
、田中で汽車に乗るか、又は途次写生をしながら小諸まで歩くかして、一週に一二度ずつ塾へ顔を出す日は
「私も小諸へ来ましてから、いくらかお酒が飲めるように成りました」
の並び続いた荒町の裏を畠づたいに歩いて、やがて小諸の町はずれにあたる与良町の裏側へ出た。非常に大きな石が畠の間
「でも、貴方だって、小諸言葉が知らずに口から出るようですよ。人と話をして被
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を迎えることに成った。学年前の休みに、先生は東京から着いた高瀬をここへ案内して来た。岡の上から見ると
の道を下りた。先生がまだ男のさかりの頃、東京の私立学校で英語の教師をした時分、教えた生徒の一人が高瀬だっ
東京から来たばかりの高瀬には、見るもの、聞くもの、新しい印象を受ける
東京の明るい家屋を見慣れた高瀬の眼には、屋根の下も暗い。
高瀬はよく寝就かれなかった。彼の心はまだ半ば東京の方にあった。自分のために心配していてくれる人達の
の屋敷の方へ行って、一時借りている部屋で、東京の友人に宛てた手紙を書いた。一間ほど隔てて寄宿する生徒等の
階へ引返して来る頃は、丁度二番の下り汽車が東京の方から着いた。盛んな蒸汽の音が塾の直ぐ前で起った
やって来た上り汽車がやがて汽笛の音を残して、東京を指して行って了った頃は、高瀬も塾の庭を帰って行っ
長く東京で年月を送って来た高瀬には、塾の周囲だけでも眼に
子安という新教員も、高瀬が東京へ行った序に頼んで来た。子安は、高瀬も逢ったことが
直ぐに中棚の方へ歩いて行って見た。子安が東京から来て一月ばかり経つ時分には藤の花などが高い崖から垂下
を訪ねて来た。この流行の風俗をした婦人は東京から来たお島の友達だった。最早山の上でもすっかり雪が
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は鉱泉の性質、新浴場の設計などで持切った。千曲川への水泳の序に、見に来る町の子供等もあった。中
の崖の上にある村落、耕地、その下を奔り流れる千曲川が青畳の上から望まれた。
名を彫った額も掛った。明るい深い緑葉の反射は千曲川の見える座敷に満ちて、そこに集った湯上りの連中の顔にまで映っ
の仲間に行き逢った。旧士族の一人だ。この人は千曲川の谷の方から網を提げてスゴスゴと戻って来るところだった。
頃には、壮んな蛙の声が起った。大きな深い千曲川の谷間はその鳴声で満ち溢れて来た。飛騨境の方にある日本アルプス