芭蕉 / 島崎藤村

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松島

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北村透谷君にも松島へ行つて芭蕉を追想した文章があつた。俳諧の宗匠たる身で句

があつた。俳諧の宗匠たる身で句を成さずに松島から引返したといふことは恐らく芭蕉の當時にあつて非常に不名譽である

て來た芭蕉の姿が反つてなつかしいといふのが、松島に遊んだ時の北村君の話であつた。北村君は芭蕉に寄せて

伊賀

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で四日市へ渡り、龜山といふところに一晩泊つて、伊賀と近江の國境を歩いて越した。あれから琵琶湖の畔へ出、大津

ても、何程若い時の自分の眼に映つた寂しい伊賀の山中や、吉野路の日あたりや、それから琵琶湖の畔が、その昔

琵琶湖

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、伊賀と近江の國境を歩いて越した。あれから琵琶湖の畔へ出、大津、瀬多、膳所なぞの町々を通つて西京から奈良へ

大阪

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知れない。それにしても私は芭蕉といふ人が大阪の花屋の座敷で此の世を去つたといふ時でも、實際に於いて

奈良

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大津、瀬多、膳所なぞの町々を通つて西京から奈良へと通り、吉野路を旅した。私はもう一度琵琶湖の畔へ

大津

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境を歩いて越した。あれから琵琶湖の畔へ出、大津、瀬多、膳所なぞの町々を通つて西京から奈良へと通り、

巴里

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全く思ひがけなかつたのは、私が巴里に居る頃、※ルレエヌに芭蕉を比較した一節をカミイユ・モウクレエルの著述