北海道の「俊寛」 / 小林多喜二
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北海道の「俊寛」
十一月の半ば過ぎると、もう北海道には雪が降る。(私は北海道にいる。)乾いた、細かい、ギリギリ
半ば過ぎると、もう北海道には雪が降る。(私は北海道にいる。)乾いた、細かい、ギリギリと寒い雪だ。――チヤツプリンの「
アラスカの大吹雪を思い出すことが出来る、あれとそのまゝが北海道の冬である。北海道へ「出稼」に来た人達は冬になると
ことが出来る、あれとそのまゝが北海道の冬である。北海道へ「出稼」に来た人達は冬になると、「内地」の正月
帰つて行く。しかし帰ろうにも、帰れない人達は、北海道で「越年(おつねん)」しなければならなくなるわけである。冬になると、北海道
しなければならなくなるわけである。冬になると、北海道の奥地にいる労働者は島流しにされた俊寛のように、せめて内地の陸
等の足は、あのチヤツプリンの足なのだ。――北海道の俊寛は海岸に一日中立つて、内地へ行く船を呼んでいること
を雇わなければならない「資本家」を喜ばせる。――北海道の冬は暗いのだ。
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陸の見えるところへまでゞも行きたいと、海のある小樽、函館へ出てくるのだ。もう一度チヤツプリンを引き合いに出すが、「
と、汽車賃もくれないで、オツぽり出される。小樽や函館へ出てくるのはこういう人達なのだ。
が流れ込んでくると、「友喰い」が始まるのだ。小樽や函館にいる自由労働者は、この俊寛達を敵よりもひどくにめつける
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等は「青森」とか、「秋田」とか、「盛岡」とか――自分達の国の言葉をきゝたいのだ、自分
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ではなくて、彼等は「青森」とか、「秋田」とか、「盛岡」とか――自分達の国の言葉をき
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―だが、そればかりではなくて、彼等は「青森」とか、「秋田」とか、「盛岡」とか――自分達