一九二八年三月十五日 / 小林多喜二

一九二八年三月十五日のword cloud

地名一覧

札幌

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と、頭をかすかに振つたやうだつた。――「札幌廻はしだ。」木下が低くさう云つた。

心臟をグツと一握りにされた、と思つた。札幌廻はり、といふのは十中の八、九もう觀念しなければならない事

と集めて、何時でも甘さうにのんでゐた。札幌へ護送される木下のために、せめて煙草だけでも贈ることが出來ることを

で行つた。そして「事實」の確定したものは、札幌の裁判所へ順繰りに送られて、豫審へ廻はされた。

事情をすつかりつかんでゐる渡などは逆に利用して、札幌へ行く途中、付添の特高にねだつて、停車場で辨當や饅頭を買

迄には××警察に抑留されてゐた全部が札幌へ護送されて行つてしまつた。急に署内がガランとした。

北海道

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た。暗い、吹雪いた、山の鳴る夜だつた。そして北海道へ渡つてきた。

小樽で二人はある鐵工場に入つた。が、北海道と内地とは、人が云ふほどの大した異ひはなかつた。こゝも矢張り

秋田

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、さうしてゐるのではなかつた。――お由は秋田のドン百姓の末娘に生れた。彼女は小學校を二年でやめると

小樽

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小樽で二人はある鐵工場に入つた。が、北海道と内地とは、人

のために一回三圓で淫賣をしてゐるものが小樽に八人ゐる。穴知り生。」

を××かゝつた。「この野郎一人ゐる爲めに、小樽がうるさくて仕方がねエんだ。」

小樽の一つの名物として「廣告屋」がゐた。それは

東京

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いゝか、いくらお前が××が免疫になつたつて、東京からは若し何んならブツ××たつていゝツて云つてきてゐるん