蟹工船 / 小林多喜二
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も日本のものにするそうだ。日本のアレは支那や満洲ばかりでなしに、こっちの方面も大切だって云うんだ。それにはここ
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最初「実写」だった。宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。時々切れた。急
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波のしぶきで曇った円るい舷窓から、ひょいひょいと樺太の、雪のある山並の堅い線が見えた。然しすぐそれはガラスの外
されつくして、行詰ってくると、資本家は「北海道・樺太へ!」鉤爪をのばした。其処では、彼等は朝鮮や、台湾の
た。監視付きの小樽の下宿屋にゴロゴロしていると、樺太や北海道の奥地へ船で引きずられて行く。足を「一寸」すべらすと
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最初「実写」だった。宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。時々切れた
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然し来たもんだな、俺も……」その漁夫は芝浦の工場にいたことがあった。そこの話がそれから出た。それ
芝浦の漁夫が、
甲板に集った。「要求事項」は、吃り、学生、芝浦、威張んなが集ってきめた。それを皆の面前で、彼等につきつける
学生二人、吃り、威張んな、芝浦、火夫三名、水夫三名が、「要求条項」と「誓約書」を持っ
芝浦は巾の広い肩をけわしく動かした。水夫、火夫、学生が二人をとめた
芝浦も、水、火夫の代表も初めて叫んだ。
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堅い線が見えた。然しすぐそれはガラスの外へ、アルプスの氷山のようにモリモリとむくれ上ってくる波に隠されてしまう。寒々と
にか離れ離れになってしまっていた。それでも思いっ切りアルプスの絶頂に乗り上ったとき、溺死者が両手を振っているように、揺られ
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内地へ帰れなくなる。彼等は、身寄りのない雪の北海道で「越年」するために、自分の身体を手鼻位の値で「売らなけれ
た。どっちの仕事も「季節労働」なので、(北海道の仕事は殆んどそれだった)イザ夜業となると、ブッ続けに続けられた
漁夫の仲間には、北海道の奥地の開墾地や、鉄道敷設の土工部屋へ「蛸」に売られた
やるんだ」と云った。その男は図体の大きい、北海道の奥地で色々なことをやってきたという男だった。もっと低い声
があった。そこの話がそれから出た。それは北海道の労働者達には「工場」だとは想像もつかない「立派な処」
大体開拓されつくして、行詰ってくると、資本家は「北海道・樺太へ!」鉤爪をのばした。其処では、彼等は朝鮮や、
北海道では、字義通り、どの鉄道の枕木もそれはそのまま一本々々労働者の
生きたまま「人柱」のように埋められた。――北海道の、そういう労働者を「タコ(蛸)」と云っている。蛸は自分
それから「入地百姓」――北海道には「移民百姓」がいる。「北海道開拓」「人口食糧問題解決、移民奨励
百姓」――北海道には「移民百姓」がいる。「北海道開拓」「人口食糧問題解決、移民奨励」、日本少年式な「移民成金」など
を真似て、濡手をきめこむ、目の鋭い人間も、又北海道に入り込んできた。――百姓は、あっちからも、こっちからも自分の
帰ろう、そう思って、津軽海峡を渡って、雪の深い北海道へやってきたのだった。――蟹工船にはそういう、自分の土地
監視付きの小樽の下宿屋にゴロゴロしていると、樺太や北海道の奥地へ船で引きずられて行く。足を「一寸」すべらすと、ゴンゴンゴン
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靴会社の職工だった。春になり仕事が無くなると、カムサツカへ出稼ぎに出た。どっちの仕事も「季節労働」なので、(北海道
は、「会社のオッかない人、船長、監督、それにカムサツカで警備の任に当る駆逐艦の御大、水上警察の署長さん、海員組合の折鞄
たら、睾丸をブラ下げた日本男児は腹でも切って、カムサツカの海の中にブチ落ちることだ。身体が小さくたって、野呂間な露助に
カムサツカの海は、よくも来やがった、と待ちかまえていたように見えた。
晴れ上って、洗われた後のように澄んでいた。カムサツカの連峰が絵葉書で見るスイッツルの山々のように、くっきりと輝いていた。
。次の朝、川崎船は半分水船になったまま、カムサツカの岸に打ち上げられていた。そして皆は近所のロシア人に救われたの
だった。漁夫達がワッと事を起して、此奴をカムサツカの海へたたき落すようなことでもないかな、そんな事を考えていた
看てやった者がいなかったかも知れない。そのカムサツカでは誰だって死にきれないだろう。漁夫達はその時の彼の気持を
。――二時で、もう夜が明けていた。カムサツカの連峰が金紫色に輝いて、海から二、三寸位の高さで
三角波が立ってきていた。カムサツカの海に慣れている漁夫には、それが直ぐ分る。
春になり仕事が無くなると、カムサツカへ出稼でかせぎに出た。
それにカムサツカで警備の任に当る駆逐艦の御大おんたい、
腹でも切って、カムサツカの海の中にブチ落ちることだ。
「それに、我カムサツカの漁業は蟹罐詰ばかりでなく、鮭さけ、鱒ますと共に
カムサツカの海は、よくも来やがった、と待ちかまえていたように
それでボカされたカムサツカの沿線が、するすると八ツ目鰻うなぎのように
カムサツカの夜明けは二時頃なので、漁夫達はすっかり身支度をし、
それがカムサツカの「突風」の前ブレだった。にわかに底潮の流れが
右舷に見えていたカムサツカが、分らないうちに左舷になっていた。
このカムサツカまでワザワザ来て仕事なんか出来るかい」
カムサツカの連峰が絵葉書で見るスイッツルの山々のように、
川崎船は半分水船になったまま、カムサツカの岸に打ち上げられていた。
この遠いカムサツカで、しかも陸も踏めずに死ぬのは淋さびし過ぎる。
漁夫達がワッと事を起して、此奴をカムサツカの海へたたき落すようなことでもないかな、
「カムサツカで死にたくないな……」
漁に出る振りして、カムサツカの陸さ逃げて、露助と一緒に
金がそのままゴロゴロ転ころがっているようなカムサツカや北樺太など、
「カムサツカでは死にたくない」――彼は死ぬときそう云ったそうだった。
そのカムサツカでは誰だって死にきれないだろう。
屍体したいになった自分の身体が、底の暗いカムサツカの海に、そういうように蹴落けおとされ
ワザと見当を失った振りをして、カムサツカに漂流したものがあった。
組をなして怠けたものにはカムサツカ体操をさせる。
二時で、もう夜が明けていた。カムサツカの連峰が金紫色に輝いて、
カムサツカの海に慣れている漁夫には、それが直すぐ分る
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「秋田」
「秋田の何処だ」
秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、大きく安坐
者を入れることに死物狂いになっていた。青森、秋田の組合などとも連絡をとって。――それを何より恐れてい
駆逐艦のことから、兵隊の話が出た。漁夫には秋田、青森、岩手の百姓が多かった。それで兵隊のことになると、
「秋田」 それ等は各々棚をちがえていた。「秋田の何処だ」
「北秋田だんし」と云った。「百姓か?」「そんだし」
秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、
青森、秋田の組合などとも連絡をとって。――それを何より恐れていた)
漁夫には秋田、青森、岩手の百姓が多かった。
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踏む、するとモチを踏みつけた小鳥のように、函館や小樽でバタバタやる。そうすれば、まるッきり簡単に「生れた時」とちっとも
積取人夫は蟹工船の漁夫と似ていた。監視付きの小樽の下宿屋にゴロゴロしていると、樺太や北海道の奥地へ船で引きずられ
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秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、大きく安坐をかい
に組織者を入れることに死物狂いになっていた。青森、秋田の組合などとも連絡をとって。――それを何より恐れ
もかもなく、ただそれでいいものなどがいた。青森辺の善良な村長さんに選ばれてきた「何も知らない」「
ことから、兵隊の話が出た。漁夫には秋田、青森、岩手の百姓が多かった。それで兵隊のことになると、訳が
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最初「実写」だった。宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。時々切れた。急に写真が
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周旋屋にだまされて、連れてこられた東京の学生上りは、こんな筈がなかった、とブツブツ云っていた。
脚気の漁夫が死んでしまった。――二十七だった。東京、日暮里の周施屋から来たもので、一緒の仲間が十人程い
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漁夫が死んでしまった。――二十七だった。東京、日暮里の周施屋から来たもので、一緒の仲間が十人程いた。
二十七だった。東京、日暮里にっぽりの周施屋から来たもので、
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最初「実写」だった。宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。時々切れた。急に
宮城、松島、江ノ島、京都……が、ガタピシャガタピシャと写って行った。
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秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、
漁夫には秋田、青森、岩手の百姓が多かった。
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オホツック海へ出ると、海の色がハッキリもっと灰色がかって来た。
労働者が北オホツックの海で死ぬことなどは、丸ビルにいる重役には、どうでもいい事だ
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北オホツックの海で死ぬことなどは、丸ビルにいる重役には、どうでもいい事だった。
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海を抱込んでいる函館の街を見ていた。
函館の貧民窟の子供ばかりだった。そういうのは、
するとモチを踏みつけた小鳥のように、函館や小樽でバタバタやる。
函館の労働組合は蟹工船、カムサツカ行の漁夫のなかに組織者を入れることに
同時に函館を出帆した他の蟹工船は、何時の間にか離れ離れになってしまっていた
濃化粧をほどこされて、函館へ廻ってきた。日露戦争で、
函館を出帆してから、四日目ころから、毎日のボロボロな飯と
函館で買った女の話や、露骨な女の陰部の話が、夜になると、きまって出た。
それアそうだろう」相手は函館からもってきたウイスキーを
「中積船、函館ば出たとよ。――無電係の人云ってた」
この船だけは塩ッ臭くない、――函館の匂いがしていた。
脚気で、何時も寝ていた函館の漁夫が、枕を少し高くして貰って、
「な!」函館の漁夫は友達を見上げた。
「何んとかして、函館まで持って帰られないものかな。
罰として賃銀棒引き、函館へ帰ったら、警察に引き渡す。
船を函館に帰そうと何辺も思った。が、それをそうさせない力が
火でもブッ燃たいて、函館さ帰ったらどうだ。面白いど
代りを函館から取り寄せるのには遅すぎるし、出来高だって問題にならない程少ない
漁期が終って、函館へ帰港したとき、「サボ」をやったりストライキをやった船は、