日枝神社 平泉 神奈川 関西 比叡 鎌倉 九州 大阪 熊本 大津 奈良 京都 金沢 東京

たといふ。坂本のどこが好きかと、訊ねると、日枝神社の境内にかかつてゐる石の橋だ。あれにはまことに感心したと

現はれてゐる。東北では松島瑞巌寺、それから岩手の平泉。これらはみな大津の奥の院の土の色と似たところがある。この

漂つてゐるものだが、私の見た土では、神奈川の金沢とか、鎌倉とかには、衰へ切つてしまつてゐるとは

大津へ行つたものでも感じるのであらうか。去年初めて関西へ連れて来た私の家内は、京都大阪奈良と諸所を歩いてから大津

京都大阪奈良と諸所を歩いてから大津へ来ると、一番関西で好きな所は大津だと私に洩した。家内と大津へ行つたとき

の空気のまだそのままに残つてゐる市街は、恐らく関西では大津であり、大津のうちでは疏水の付近だけであらう。

へ出たこととてない人であるが、この人が初めて関西へ来て、奈良京都大阪と廻つたことがあつた。常人以上に勘の

君のことなので、私は彼が帰つてから、関西の印象を話すのを楽しみにして待つてゐると、帰つて来て云ふ

待つてゐると、帰つて来て云ふには、自分は関西を諸々方々廻つてみたけれども、人の云ふほどにはどこにも

た湖を渡る涼風に、瓜や茄子を流しながら、遠く比叡の山腹に光つてゐる灯火をめがけて、幾艘もの灯籠舟のさざめき

、私の見た土では、神奈川の金沢とか、鎌倉とかには、衰へ切つてしまつてゐるとはいへ、幕府のあつた

も私の二十二三のときの夏のことで、九州へ行つたときであるが、汽車が熊本へ這入り、球磨川の急流に沿つて

であるが、この人が初めて関西へ来て、奈良京都大阪と廻つたことがあつた。常人以上に勘のよく利く永井君のことな

のことで、九州へ行つたときであるが、汽車が熊本へ這入り、球磨川の急流に沿つて沢山のトンネルを抜けては出、抜け

て、ある夏のこと、私の二十一二のころ大津から東京へ行くときに、二十二三の美しい婦人が私の前の

中から去り難い。今も東海道を汽車で通る度に、大津の街へさしかかると、ひとりでゐても胸がわくわくとして、窓

、近江の大津に帰つた。殊に小学校時代には我が家が大津の湖の岸辺にあつたので、琵琶湖の夏の景色は脳中から

。私は二十歳前後には、夏になると、近江の大津に帰つた。殊に小学校時代には我が家が大津の湖の岸辺にあつた

大津へ行つたときには早春であつたが、夏の大津の美しさは、またはるかに早春とは違つてゐる。「唐崎の

で好きな所は大津だと私に洩した。家内と大津へ行つたときには早春であつたが、夏の大津の美しさは

歩いてから大津へ来ると、一番関西で好きな所は大津だと私に洩した。家内と大津へ行つたときには早春であつ

た私の家内は、京都大阪奈良と諸所を歩いてから大津へ来ると、一番関西で好きな所は大津だと私に洩した。

堪らぬ気持に誘惑される。大津の美しさは、たまに大津へ行つたものでも感じるのであらうか。去年初めて関西へ連れて来

と、思はずいひたくて堪らぬ気持に誘惑される。大津の美しさは、たまに大津へ行つたものでも感じるのであらうか。

は、東海道では大津より以外は私には起らない。大津へ来かかると、私も傍にゐる見知らぬ人にでも、ここは私

前の婦人の気持ちに似た喜ばしさは、東海道では大津より以外は私には起らない。大津へ来かかると、私も傍にゐる

残つてゐる市街は、恐らく関西では大津であり、大津のうちでは疏水の付近だけであらう。

まだそのままに残つてゐる市街は、恐らく関西では大津であり、大津のうちでは疏水の付近だけであらう。

、何んでもそれは盆の日ではなからうか。大津の北端に尾花川といふ所がある。ここは野菜の産地で、畑

は松島瑞巌寺、それから岩手の平泉。これらはみな大津の奥の院の土の色と似たところがある。この奥の院をなほ奥深く

へは行かなかつたといふ。坂本で感心をするなら大津の疏水から三井寺へ行くべきであると私は云つたのだが、

にはまことに感心したといふので、それでは大津へ行つたかと訊くと、そこへは行かなかつたといふ。坂本

、沼のやうにだんだん生色を無くしていくのを感じる。大津の街は湖に面した所は、静かで人通りも少く、湖に遠ざかる

ゐる人の多いのに、今さら驚いたのであるが、大津地方の人は、物事にあまり感動を現はさない。むしろ他人には

するやうに出来上がつてゐるからである。私は去年大津の街を歩いてゐて、ぶくぶく膨れてゐる人の多いのに、今さら

去年初めて関西へ連れて来た私の家内は、京都大阪奈良と諸所を歩いてから大津へ来ると、一番関西で好きな所は大津

ない人であるが、この人が初めて関西へ来て、奈良京都大阪と廻つたことがあつた。常人以上に勘のよく利く永井君

か。去年初めて関西へ連れて来た私の家内は、京都大阪奈良と諸所を歩いてから大津へ来ると、一番関西で好きな所

がある。この奥の院をなほ奥深くどこまでも行くと、京都へ脱ける間道のあるのは、ほとんど土地の人さへ知らないことだが、

人であるが、この人が初めて関西へ来て、奈良京都大阪と廻つたことがあつた。常人以上に勘のよく利く永井君の

ゐるものだが、私の見た土では、神奈川の金沢とか、鎌倉とかには、衰へ切つてしまつてゐるとはいへ

私の前の席に乗つたことがあつた。私は東京近く来るまで、その婦人と一言も言葉も交へなければ、顔も見合し

ある夏のこと、私の二十一二のころ大津から東京へ行くときに、二十二三の美しい婦人が私の前の席に

私の友人の永井龍男君は江戸つ子で三十近くまで東京から外へ出たこととてない人であるが、この人が初めて関西へ