青山 北海道 小樽 東京

一九二二年の春のころ、わたしは青山の石屋の横丁をはいった横通りの竹垣のある平べったいトタン屋根の家に住ん

翻訳家である宮原晃一郎さんが訪ねて来られた。そして、北海道の小樽新聞へつづきものの小説を書かないかとすすめられた。

ある宮原晃一郎さんが訪ねて来られた。そして、北海道の小樽新聞へつづきものの小説を書かないかとすすめられた。

晃一郎さんは、わたしがことわったにもかかわらず、再三、小樽新聞にかくことをすすめられた。何でもかまわない、書きたいものを

わたしは、小樽新聞の小説のことを思い出した。自分の生活や心の内の風浪と

「古き小画」は宮原晃一郎氏を通じて小樽新聞にのせられた。そのきりぬきをこしらえてもっていた。何年の

くらみそうだった。それでも八月の二十日すぎて東京へかえるとき「古き小画」は出来あがった。