茶話 07 大正十四（一九二五）年 ／ 薄田泣菫
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、今から二百五十五年以前のことだが、その年の春ボストンのある船長が、三箇年の長い航海から久しぶりに自宅に帰つて来た。
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の英文科のある学生が、なにがし教授のお伴をして、四条の南座に忠臣蔵の通し狂言を見たことがあつた。芝居がはね
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だとのことである。そこに住んでゐる婦人から、ロンドンにゐる友達へあてた手紙がちやうど二年越しのこのごろ英国に到着した
一七五〇年ごろ、ロンドンで趣味と知識とをもとめてゐた少数の婦人達が、そのころの名高い
これはロンドンのある中流の家庭に起きた大問題であります。登場人物は中年の銀行家
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いつだつたか、私は道頓堀の中座で鴈治郎の「盛綱首実検」を見てゐたことがあつた。隣り
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大阪のある大きな会社で、重役の一人が労働問題の参考資料にと思つて、その
てゐるが、日本の工場の調査ではどんなものか知ら。大阪のある電気の大工場では、金曜日には兎角故障が多いからといふの
一二年前、この流行を見てとつた大阪のなにがし呉服店で、呉昌碩の作品展覧会を思ひ立つた事があつた。会場で
今日大阪の××町にある美術書画屋の前を通ると、夏目漱石の手紙が
いつだつたか、近松秋江氏は、大阪の町で帯がはりに、金ぐさりをぐるぐる巻きに腰に巻きつけてゐる男を
私はまた二三年前、大阪の天王寺行きの電車のなかで、洋妾でもしてゐたらしい女が
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つたか、米国のグリイブス提督が、しやれた背広服でワシントンの街をぶらついてゐたことがあつた。途中でそれを見かけた男は
漫遊してかへつたのがあつた。最近その男が、ワシントンで何かの会合で、駐米仏国大使に出会つたことがあつた。
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シカゴのある墓地で、二人のちんぴら小僧が胡桃の実を盗んでゐた。
この男が公債を買ひにシカゴの銀行に行つたことがあつた。お名前をといふことになつて、
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長崎の南画家木下逸雲は、支那人から西湖の蓮を一株もらつ
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事があつた。会場で売る筈の作画集には、京都の富岡鉄斎の題字を頼む事にした。作風が一寸似通つて
は、東京であつたことなんですか、それとも京都ででも……」
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こなひだ、神戸のあるミツシヨン・スクウルで、頭のはげかかつた牧師が、受け持ちの聖書
つのいたづら盛りの男の子があつた。三ちやんは神戸では町内きつての腕白であつた。
神戸の郵便局につとめてゐた官吏で、本省に転勤を命ぜられたので
「神戸から。」
三ちやんは、神戸の名をよぶことに、ある誇りをもつて答へた。
て、側にゐた友達の一人をふりかへつた。「神戸つてどこだい。文ちやん、君知つてる。」
「神戸？」鼻つたらしの町内の腕白太郎は、不思議さうに目をぱちくりさ
「きつとロシアだよ。」と一口に神戸をいひ消されてしまつた三ちやんは、折角の生まれ故郷に自信がもて
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、お願ひだから、君のフランス語をやめていたゞきたい。巴里人そつくりの君の発音を聞いてると、ホームシツクにかゝりさうだからね。
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東京日日（夕）
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またとなからうと思はれる。もしかキリストが復活して、東京の町へは入つて来るやうなことでもあつたら、真つ先に
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として店先にならべられてあるのを見た。もと東京のある新聞社の幹部にゐた人にあてた私信で、それをこの店
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、本省に転勤を命ぜられたので、家をまとめて東京に引越したのがあつた。そこに三ちやんといふ、五つ六つの
三ちやんは、東京でもすぐ町内にあそび仲間をめつけることが出来た。仲間の一人は
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ね。いつたい、赤穂義士の仇討ちつていふのは、東京であつたことなんですか、それとも京都ででも……」
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