本所 大島町 大阪 江戸 荏原郡 金杉 玉川 深川 日本橋 目黒 銀座 品川 京橋 永代橋

おむらに松乃という姉があった。本所の横網に住んでいてときどき遊びに来る、おけいもよく知っているが、

「ちょっとそこまで出て貰えないか、大島町の河岸で待ってる」

大島町の河岸というのは深川の南の地はずれで、海に面してずっと荒地

「――いつか大島町の河岸で云ったじゃないの、こんど二人が一緒になれたときは泣けるだけ

「それがわからないの、お店は大阪とこっちと両方にあるって云うし、かなり大きくやっているらしいんだけれど、

たちも主人についてはなにも知らなかった。江戸と大阪にあるという店の所在も、商売も、……わかっているのは土地

違いないわ、あの長屋にいる人たちのなかにも、江戸へゆけばなんとかなると思って、どこかから逃げて来た人が

、吾平たちも主人についてはなにも知らなかった。江戸と大阪にあるという店の所在も、商売も、……わかっているの

さを加えた。……十年まえ、三十四の年に荏原郡調布村に土地を買った。それから今日まで周到に狡猾に、そして極めて用心

金杉の「梅川」というのがゆきつけの舟宿であった。預けてあった包

金杉を出てから約四時間、和助は六郷川の川口に近い海岸へ舟を

馴れるようにするんだな、鮎も食えないなんてそれこそ玉川が泣くぞ」

、土蔵の中の金品を思い、そしておけいを思った。玉川の流れを見おろす閑静な土地、それは彼のものである、ぎっしり詰った書画

おけいは玉川の流れを見やりながら、感動をひそめた自信のある声で云った。

大島町の河岸というのは深川の南の地はずれで、海に面してずっと荒地がひらけている。宇之吉

ず、妹の一人は子守りに出し、十二になる弟は日本橋石町の太物商へ奉公に遣ったが、それで母親の手内職を入れて

下りた。こうして五度も駕籠を乗り替えたうえ、目黒から大山道を西へまっすぐにゆき、柿の木坂というところで、掛け茶屋へはいっ

その日は三軒ばかり客筋をまわって、昏れ方に銀座の店へ帰った。主人の儀兵衛は町内の寄合にでかけたという、

から、親類さきを三軒も転々し、十二の年に銀座の両替商へでっち奉公にはいった。親類では厄介者として追い使われ

品川の沖で日が昇った。海の上では日光は暑い、たちまち汗

いろいろなことを聞いた。父の七造がまえには京橋へんの質屋にいたこと、おたみはその店の養女で、いつか

、水天宮の近くで辻駕籠に乗ったが、それも京橋八丁堀で下りた。こうして五度も駕籠を乗り替えたうえ、目黒から

尾花屋を駕籠で出て、永代橋を渡ったところで下り、水天宮の近くで辻駕籠に乗ったが、