白髪鬼 / 江戸川乱歩
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名前を云えば知っている人も多かろう。わしの先祖は九州の西岸のS市を中心として、あの辺一帯で、十何万石を
何も東京に限りはすまい。却て、景色のよい九州の海岸で、静かに絵筆に親しむがよかろうと、わしが切に勧めて、同伴
。それについては、うまい思案があった。わしは九州のある大新聞の編輯局にいる、旧大牟田領の家臣であった男に
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大阪の伯父の所へ旅行していて、わしの結婚式に間に合わなかった川村義雄
。今まで女嫌いを看板にしていた君が、東京や大阪の社交界にだって、滅多に見当らぬ様な、日本一の美人を妻にする
志村を傭入れて一週間もすると、わしは彼を大阪へやって、奇妙な品物を買求めさせた。当時日本に幾つという程
わしが志村を大阪へやって、例の奇怪な実物幻燈と、壜詰の赤ん坊を手に入れる様
「アア、それは丁度好都合でした。実は僕、暫く大阪へ行くことになりましたので、帰る時分には、そのお堂が出来上っ
「マア、大阪へ? 何か急なご用でも出来ましたの?」
わしよりも、瑠璃子がびっくりして聞き返した。川村の大阪行きは、姦婦の彼女にも初耳であったと見える。
「エエ、つい今し方大阪の伯父から電報を受取ったのです。長く病っていたのですが、もう
「サア、約束をしてくれ給え。僕が大阪から帰ったら、正式に結婚すると」
、ボーイが来客を知らせた。川村義雄だ。彼奴め大阪行きの暇乞いにでも来たのだろう。
この僕の外には身寄りもないのです。つまり、今度大阪へ行くのは、その伯父の虎の子の財産を譲り受けに行く様なものですよ
は立聞きをしてチャンと知っている。それは川村が大阪から帰ってからゆっくり相談しようと話が極まったことを知っている。川村の
そこで、川村は心を残して大阪に出発し、一月ばかりというもの、手紙の外には彼の消息を
大阪の川村義雄から、愈々伯父が死亡したこと、遺産はとどこおりなく相続を了し
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その翌日、わしは長崎通いの定期船に乗り込んで、S市を離れた。
の金貨紙幣を取り出して、風呂敷包にし、それを携え長崎通いの船に乗った。よくも勘定出来なかったが、大凡二十万円も
長崎に上陸すると、市内第一の洋服店で、出来合ではあったが
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大仕掛けな支那人の海賊団があった。そのことは東京の新聞にさえのった程だから、記憶のよい人は、今でも
て、二十歳から二十八歳まで、高等教育を受ける為に、東京へ遊学した。その間の楽しさも忘れられぬ。わしには一人
希望もあったので、画の勉強なれば、何も東京に限りはすまい。却て、景色のよい九州の海岸で、静かに
ことだ。今まで女嫌いを看板にしていた君が、東京や大阪の社交界にだって、滅多に見当らぬ様な、日本一の美人を
祖父の姿、自分の幼時のおもかげ、小学時代のいたずら、東京の学生生活、川村を初め親しい友達の影像、瑠璃子との愛の生活の
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奴、自分では用心をして踏まなかった、突端の小岩の上へ、わしに出て見よとは、意地の悪い奴だと思っ
の抵抗がなくなってしまったのだ。もろくなっていた小岩が折れて、砲弾の様な勢いで、数十丈の脚下へ落て行っ