オペラの辻 / 岡本かの子
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自分等が巴里へ入ったとき(最初は私達は子どもだけパリへ置いてロンドンへ渡り約一年後に巴里に来た。)こどもが最初
私達がパリに棲みつきシャンゼリゼ座で世界の唄手シャリアピンを聴いて帰る道での興奮。西班牙
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子どもが学校の寄宿へはいり私達がベルリンに移り住む前夜のオペラ見物のかえりに三人はまたカフェー・ド・ユ・ラ・ペ
「ベルリンから来年の春日本へかえるんだけれど太郎さんはやっぱり残る?」
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へ入ったとき(最初は私達は子どもだけパリへ置いてロンドンへ渡り約一年後に巴里に来た。)こどもが最初に私達を誘っ
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の中でもブラス・ドゥ・オペラ(オペラの辻)は巴里の十字路といわれている。
巴里は世界の十字路といわれている。巴里の中でもブラス・ドゥ・オペラ(オペラの辻)は巴里の十字路と
巴里は世界の十字路といわれている。巴里の中でもブラス・ドゥ・
でいこじになってヴァニラとチョコレートと盛り分けのアイスクリームを誂える。巴里人達は窮屈嫌いで屈托嫌いで戸外好きだ。
互いに見惚れることにわれを忘れている。こういう場合、巴里の男女は情痴を却ってうるさいものとする。現代人の彼等は眼の楽しみ
衣裳を着飾って同じ衣裳を着飾った行人と眺め交わしている巴里の男女を見るとき、自分はいつもこう思う。それほど彼等は人間離れ
は子どもだけパリへ置いてロンドンへ渡り約一年後に巴里に来た。)こどもが最初に私達を誘ったのはこのカフェ・ド
二度目に自分等が巴里へ入ったとき(最初は私達は子どもだけパリへ置いてロンドンへ渡り約
「なるほど美感の贅沢なこの子が巴里を好きで好きでたまらなかった筈だ」
「やっぱり巴里にこどもを取られる――仕方がないかしら」
こどもはこんなにも巴里に馴れて来たのかとあきれたような心嬉しさだった。
して覚えたものとは思われない。好きなればこそ巴里に沁みつく子どもの心に語学もひとりでに沁みついたのだろう。初めはちっと
巴里だ。自分だって好きな巴里だ。「いつまでも巴里にいたくなった」と英国にいた時着いた手紙にこの子が
子がこんなにも好きな巴里だ。自分だって好きな巴里だ。「いつまでも巴里にいたくなった」と英国にいた時
この子がこんなにも好きな巴里だ。自分だって好きな巴里だ。「いつまでも巴里にいたくなっ
「自分が連れて来て仕舞った巴里に奪られるのじゃないか」
も子どもを連れて行くといい出した。他人は早くから巴里へ修業におやりになり感心な親だとほめた。しかしほんとはほめ
この言葉の意味は子どもが英国へ巴里を讃美し巴里に愛着をふかめる表現の手紙を呉れる度だんだん私にはっきり分って来た。
この言葉の意味は子どもが英国へ巴里を讃美し巴里に愛着をふかめる表現の手紙を呉れる度だんだん私にはっきり分っ
私は洋服も帽子もすっかり巴里風になった子どもを見上げ見下ろした。つい一年ばかり前日本に居た
「まだ泣いている。さあ、これから僕達一緒に巴里に棲むんじゃないか。仕合せに元気に暮らそうよ」
「こうして居る間も巴里がいよいよ子どもに染み込む」私の子に対する情痴はいつもおびえていた
見極めをつけずにはいられなくなった。この子の巴里を迎い入れる天稟も私の好尚の第一意義に合致するのはうれしくも
の若い心に巴里の悲哀も歓楽も染みて行った。巴里から、とても子どもは離せまいとすっかり見極めをつけずにはいられなくなっ
だった。親の見る眼もいとおしいほど子どもの若い心に巴里の悲哀も歓楽も染みて行った。巴里から、とても子どもは離せまいと
をかりに悪くいえば子どもは真赤になって怒った。巴里はもはや完全に子どもの恋人だった。親の見る眼もいとおしいほど子どもの
事実巴里は一日一日と子どもに染み込んで行った。巴里をかりに悪くいえば子どもは真赤になって怒った。巴里はもはや完全
事実巴里は一日一日と子どもに染み込んで行った。巴里をかりに悪くいえば
「僕、親に別れるのはつらいけど……でも巴里からは絶対に離れ度く無い!」
私はみんな子への情痴の世界にそれをつぎ入れよう。巴里と云う恋人と同棲する子にお金の不自由をさせ度く無い。
よりほかはあるまいものを。世人よ。十年二十年巴里に子を置き違い画かきにするなぞいう野心の親とは私は違う
して呉れとせがんでも断われないだろう私なのだ。巴里と云う子の恋人の許へ置いて行くよりほかはあるまいものを。
今年の始め巴里の停車場で最後に子と別れた私と子の父親は汽車の中で
もこういって呉れた。子よ、太郎よ、今、巴里のカフェー・ド・ユ・ラ・ペイユの張り出し椅子の並ぶあたりに春の夕陽
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こどもは画家を志して東京の美術学校へもよい成績で入った。こどもの洋行はゆっくり卒業後という