梅田 道成寺 大阪 夙川 寶塚 京都 東京

になると、一度私はこんな目に遭つた。或る晩梅田で大朝と大毎の夕刊を買つて、阪急に乘つたが、少し酒

阪急の梅田では、電車の中へ夕刊を賣りに來るのだから、買ふ機會

一度は何でも、寶塚で菊五郎の道成寺を見た歸り途の、滿員の電車の中だった。車臺の中央

大阪の人は電車の中で、平氣で子供に小便をさせる人種である、

大阪から汽車で京都へ行つた時、二等室に若い夫婦が乘つてゐ

大阪の人――それも相當教養のあるらしい、サラリー・メン階級の人々――

て、次ぎの新聞に移る迄は差し控へる。然るに大阪では、馬鹿なのかづうづうしいのか、そんな遠慮をしてゐる

だつたか、キヨロキヨロ見廻してもよく分らない。そのうちに夙川へ來る、蘆屋川へ來る、いよいよ次ぎの岡本で降りようと思つて立ち上ると、

一度は何でも、寶塚で菊五郎の道成寺を見た歸り途の、滿員の電車の中だった。

大阪から汽車で京都へ行つた時、二等室に若い夫婦が乘つてゐた。そして

をさせる人種である、――と、かう云つたらば東京人は驚くだらうが、此れは嘘でも何でもない。事實私

の外へ捨てるのである。甚だ尾籠なお話で、東京人には恐縮であるが、此方の人はこんな事を何とも思つ

の電車や汽車の中では見られない圖である。東京人の常識では、かう云ふ人の心持ちは判斷が出來ない。ちよつと外國

邪氣でいいが、前の尾籠な事件と共に、東京の電車や汽車の中では見られない圖である。東京人の常識

此れを默つて許して置く方も惡いと思ふ。要するに東京に比べて、市民全體の公徳心が薄いのではあるまいか。

寧ろ美點であるのかも知れぬが、此れがやつぱり東京人にはづうづうしく見え、不愉快でない迄も「非常識な」

だとしてゐる。大阪人は此の點に於いて東京人ほどはにかみ屋でなく、人みしりをしない。或る場合には却てフランク

一體に、東京人は見ず知らずの人に向つて話しかけることはめつたにない。それ