古今集巻之五 / 山本周五郎
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を催した。永井はこの十五日に参覲の供で、江戸へゆくことになったのだが、そのほかに、こんど永井家が旧禄
を復活され、主計が中老職にあげられる筈で、江戸への供はその前触れを兼ねていたから、私が主人役で祝宴を
ことで、予定どおり十五日に、主計は供に加わって江戸へ立った。出立する日の早朝、岡本五郎太が訪ねて来て、「こんど
かえらない、取返せないことで思い悩むのはみれんだ。幸い、江戸へゆくことだし、土地が変るのを機会にいやなことを忘れるように
はもとより、私たちとも古くから知っていた。永井が江戸へゆくとすぐ、私は手紙で彼のことを二人に頼んだ。それに
私はそう思ったものであるが、江戸から来る手紙はみな、あのときの主計のようすを再現し、それがしだいに
さそい、酒や女に溺れさせた。国許とは違って江戸は広いから、家中の眼を気にする必要はない。金さえあれば遊ぶ
だ」と書いて来た。日常のようすも好ましくない。江戸へ来たのは、やがて中老に任ぜられるため、老臣たちに前披露をする
江戸を立つまえ、主計は側用人の戸田蔵人に呼ばれ、いろいろ眼にあまる行跡が
のほうがよいと思って、たみを呼び戻した。主計が江戸へ立ったあと、たみは暇を取って親元へ帰り、まもなく嫁に
の命でその代価を払った。妊娠三カ月、良人は江戸へ去る、去るまえに代価を払わなければならない。そして同時に、秘密も
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次が杉江、下に十五歳の市三郎と、十三歳の松江という妹がある。私は杉江という妻女をよく知っていない、
。実家からは吉原市郎兵衛夫妻と、弟の市三郎、妹の松江が来、また、志田へ嫁している姉の直江も、良人と二人で
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永井家は神戸小橋の角で、上屋敷にある岡本家からは二丁足らずだった。