北海道 東京

「水車屋の新さんてだなあ、おめえは。そんで北海道から、食えなくなって、おっかあんげへ戻って来たんだって、こん

その時分からもう、北海道に出稼ぎに行っていた新さんを呼びよせもしないで、自分独りですべて

新さんは、十六の年から北海道にやられて、この五月になるまで、七年の間女房を持てるだけ

私はぼんやり母から聞いた北海道の気違いの話などを思い出していた。すると、いきなり善馬鹿は、ニヤニヤ

新さんは、北海道で時蔵という男の所にいたとき、仲間の男で十九になるの

、ただ思ってること云ったんだ。……俺ら、北海道さ行がねえ前のことを思うと、ほんに今が辛え。俺ら何んで

を習慣にしていた。そして、二月ほどの間東京では想像もつかないような生活をしているのである。

一年中東京にいた私は、夏になるとＫ村の祖母の家に行くの

私は村中の殆どすべての者に知られている。東京のお嬢様が来なすったと云って、野菜だの果物だのを持って

まだ割合に年も若く、絶えず東京風の装に苦心しているくらいの婦人連は、教会を一つの