大阪 川崎 東京 銀座

　友人が失業する。これは近所の友人じゃいけない。大阪へ行っている同窓ぐらいにして、其奴が有りつくまで月々二十円宛補助

というのは鉱山と精煉所です。川というのは川崎の工場です。誰が何処へ行って何年勤めるか、その辺は全然会社

「例えば、その電車の銅線さ。川崎の工場で拵えるんだが、材料は○○の山で掘って精煉して

も分りません。中には一生涯山へ入ったまゝ、東京へ戻れないでしまう人もあります」

「東京に待っていて戴きますわ。お父さんはあの家、何んなことがあっ

「矢っ張り東京の方が宜いわね。本店詰めってことにして戴けません？」

本店には設備がない。購買組合があって、日用品が東京よりも二割方安く手に入る。好いことずくめだ。○○町は

ないように、待遇が好くしてある。社宅が貰える。東京なら家賃を払うのだから、これ丈けでも大分違う。社員の倶楽部、

「東京に較べると空気が好いでしょう？」

も社交心が動いていた。同時に自信がある。東京にいても自分ぐらい綺麗な人は尠いのだから、この山の中

「家内です。雪子さんと申します。これは今度東京からお出になった小室君です」

「東京は何うだったい？」

香組の連中は奥さんが妊娠して月が重なると、東京の養家若しくは里へ預けて来る。

小室　カフェーは東京の本場で女房の目を掠める為めに苦心惨憺しましたから、一日

自分の係り丈け夜業があって貧乏※だから、やめて東京へ帰ろうかと不平を言うんだ。すると、辛抱して下さいと頼む

「銀座へ出てお昼を喰べようか？」